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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

ミニ情報

Mg2+依存性血液凝固系

著者: 関屋富士男1

所属機関: 1

ページ範囲:P.157 - P.157

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 血液凝固にCa2+(血漿濃度;遊離イオンとして約1.2mmol/1)が必須であることは周知である.同じアルカリ土類金属であるMg2+も血漿中に豊富に(遊離イオンとして約0.5mmol/l)存在するが,その凝固に対する作用は不明であった.筆者らは最近,多くのビタミンK依存性凝固因子のうちでもIX因子に特異的に,Ca2+のみならずMg2+もその本来の高次構造と生理活性の維持に重要であることを見いだした1).Ca2+のみの場合でもⅨ因子は機能しうる.しかしそこに生理的濃度のMg2+を添加すると,高次構造は明瞭に変化し1),生物活性は大幅に亢進する2).Ⅶ a因子・組織因子複合体(Ⅶ a・TF)によるⅨ因子の活性化反応(基質としてのⅨ因子),およびⅨa・Ⅷ aによるⅩ因子の活性化反応(酵素としてのⅩⅠ a因子)を検討したところ,いずれの反応もMg2+の添加によって反応速度が数倍上昇した2).さらに透析した血漿を用いて凝固時間へのMg2+再添加の影響を観察したが,Ⅸ因子を介する凝固反応の場合はすべて明らかな短縮を認めた2)
 現在,いわゆる内因系経路はその臨床検査的意義はさておき生理的には意味がないこと,TFにより開始される凝固においてもⅨ因子が活性化されることが認められている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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