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DICと炎症性サイトカイン
著者: 岡嶋研二1
所属機関: 1熊本大学医学部臨床検査医学教室
ページ範囲:P.202 - P.202
文献購入ページに移動 血液凝固線溶反応は,血管内皮傷害の修復に重要である.凝固系は,血管内皮細胞傷害により流入した組織因子と血液との接触(凝固外因系の活性化),もしくは血管内皮細胞剥離後に出現する異物表面と血液との接触(凝固内因系の活性化)によってその引き金がひかれる.これらの現象は,見方を変えれば,血管内皮細胞傷害に伴う異物の侵入に対して,凝固外因系の活性化により形成されるフィブリンが物理的障壁として機能し,また凝固内因系の活性化の結果,生成するカリクレインやF.XIIaにより活性化される好中球から放出される種々の炎症性メディエーターが化学的障壁として機能しているとも考えられる.
すなわち,凝固反応も生体防御という観点から考えれば,炎症反応の一部であるといえる.この関連は,特に"全身の炎症"とも形容できる敗血症において顕著である.この炎症と凝固を結び付ける物質が,サイトカインである.これらの中でも,腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor-α;TNF-α)やインターロイキン-1β(IL-1β)は,エンドトキシンによって活性化された単球より産生され,好中球と血管内皮細胞を活性化し,活性化好中球による血管内皮細胞傷害を惹起するのみならず,血管内皮細胞表面の組織因子の発現を増強させ,抗凝固物質であるトロンボモジュリンやヘパリン様物質の発現を正常の約半分に減少させる.
すなわち,凝固反応も生体防御という観点から考えれば,炎症反応の一部であるといえる.この関連は,特に"全身の炎症"とも形容できる敗血症において顕著である.この炎症と凝固を結び付ける物質が,サイトカインである.これらの中でも,腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor-α;TNF-α)やインターロイキン-1β(IL-1β)は,エンドトキシンによって活性化された単球より産生され,好中球と血管内皮細胞を活性化し,活性化好中球による血管内皮細胞傷害を惹起するのみならず,血管内皮細胞表面の組織因子の発現を増強させ,抗凝固物質であるトロンボモジュリンやヘパリン様物質の発現を正常の約半分に減少させる.
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