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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

ミニ情報

ヒスチジンリッチグリコプロテイン

著者: 東博之1

所属機関: 1徳島大学医学部第一内科

ページ範囲:P.221 - P.221

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 ヒスチジンリッチグリコプロテイン(histidine-richglycoprotein;HRG)は,ヒスチジンおよびプロリン残基に富む507アミノ酸残基から成る分子量81kDaの一本鎖糖蛋白質で,血液中,巨核球および血小板内に存在する.その血中濃度は9.2~12.5mg/dlであり肝で合成,分泌されている.HRGはin vitroではヘパリン結合能,フィブリノゲン(フィブリン)やトロンボスポンジンなどとの相互作用,活性化血小板との結合能,種々の二価金属イオンやヘムとの結合能,赤血球とTリンパ球間の自己ロゼット形成阻害能,Tリンパ球との結合能,ヘパリンの血管平滑筋増殖阻害作用の中和能などの多彩な作用を持つ多機能蛋白質の1つと考えられている.
 HRGのin vivoにおける働きはまだ不明な点が多いが,その血中濃度の増加と血栓症との関連が報告され,プラスミノゲンと結合することにより線溶活性を低下させることが血栓症発症の機序と考えられている.しかし,HRGの欠乏症や異常症は発見されておらず,HRGのin vivoにおける意義は不明であったが,1993年,筆者らは右横静脈洞血栓症で発症した世界初の先天性HRG欠乏症1家系を見出し1),HRGのin vivoにおける生理機能について解析を行った2).その結果,発端者の血小板数,出血時間,プロトロンビン時間,活性化部分トロンボプラスチン時間などの凝血学的検査はすべて正常であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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