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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

ミニ情報

ビトロネクチンと線溶系

著者: 朝倉伸司1

所属機関: 1自治医科大学血液医学研究部門止血血栓部門

ページ範囲:P.239 - P.239

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 ビトロネクチン(VN)は,本来細胞接着仲展因子としての役割を担っているが,補体蛋白質のS―プロテインと同一であることが判明した.さらには凝固系のトロンビン/アンチトロンビンⅢ(T-AT)複合体を含め,広く,トロンビン/セリンプロテアーゼインヒビター(SERPIN)複合体と結合し,スカベンジャーとしての役割や,線溶系のSERPINであるプラスミノゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-1)と結合し,組織に限局させ,線溶活性の制御に関与していると考えられている.
 最近ではさらに,PAI-1のみでなく,線溶因子のほとんどすべてと結合し,そのモジュレーターとしての役割がクローズアップされてきつつある.VNの特徴的なことは,血中に存在するnative-form (nVN)とマトリックスへ吸着やurea処理して得られるactive-form (aVN)とは構造的に大変異なっており,aVNはヘパリン結合ドメイン(HBD)やソマトメジンBドメイン(SBD)が露呈され,ヘパリン結合活性やVN多量体(VN-multimers)形成を促進させる.VN-multimersは強力なヘパリン結合活性を有し,血小板凝集にも関与.しており,vWF-multimersと近似した性格を有すると推定される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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