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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

ミニ情報

偽性血小板減少症

著者: 加藤淳1

所属機関: 1順天堂大学医学部血液内科

ページ範囲:P.244 - P.244

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 未梢血中の血小板数を正確に知るには,抗凝固剤なしで採血し,直ちに血算盤に添加後,位相差顕微鏡下で算定する方法が,最も信頼性が高いが,今日ではEDTA (エチレンジアミン四酢酸)添加末梢血を自動血球分析機に注入し測定する方法が一般的である.偽性血小板減少症(pseudothrombocytopenia;PTP)とは,抗凝固剤添加,巨大血小板,寒冷凝集素の存在下で,血小板数が実際よりも少なく測定される現象を指す.実際には抗凝固剤としてEDTAが用いられることが多いので,臨床的にはEDTAによるPTPが問題となることが多い(EDTA添加末梢血検体の0.06~0.13%).その原因の多くは血小板凝集であり,ごくまれに(約15万人に1人),白血球の細胞表面に血小板が接着する血小板衛星現象(plateletsattelitism)がみられる.
 PTPは,年齢,性差,疾患特異性はなく,健常人でもみられるが,臨床的に頻度の高い特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を迅速かつ正確に診断するうえで無視できない現象である.EDTAによる血小板凝集は採血後室温で,5分から数時間の間生じ,血小板凝集塊は必ずしも自動血球分析機によって検出されないので,同時に血液塗抹標本を観察することが重要である.またPTPが疑われる場合は,直接算定法により採血後直ちに血小板数を確認する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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