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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査 血栓性疾患と検査

5.深部静脈血栓症

著者: 折井正博1

所属機関: 1東海大学医学部第一外科

ページ範囲:P.251 - P.256

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はじめに
 血管外科領域の成書あるいは教科書的な入門書でも深部静脈血栓症の項を見れば,その診断に血液凝固線溶系のパラメーターのチェックが重要であると記載されている.しかし何がどの程度上昇したら,あるいは低下したら静脈血栓を疑うべきなのか具体的な数値を挙げているものはまずない.また文献的にも臨床例で静脈血栓症の臨床像と凝固線溶系の変化との関係を論じた報告はまれである.事実,臨床医の多くは静脈血栓症の診断・治療において血液検査成績にはあまり注意を払っていないというのが現状であろう.筆者も血管外科を専門とする臨床医であり,血液凝固学的知識は乏しく,次々と測定可能となる新しい分子マーカーの登場には目を回しているわけであるが,多くの静脈血栓症の患者に接し治療してきた立場から,現時点でどのような検査が実際に役だっているのか自験例のデータに基づいて明らかにしたい.なお,血液検査が診断上あるいは治療の効果判定に特に有用なのは血栓症の急性期なので,以下急性深部静脈血栓症に関し言及する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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