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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

ミニ情報

糖化蛋白と血栓症

著者: 丸山征郎1

所属機関: 1鹿児島大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.270 - P.270

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 糖尿病患者は末梢動脈閉塞症,虚血性心疾患,脳梗塞の最大のハイリスクグループである.この原因としては,糖尿病患者の動脈硬化や高脂血症,高血圧などが背景にあるが,最近糖化蛋白がにわかにクローズアップされてきた.
 蛋白と糖を混合し,37℃に放置すると非酵素的に蛋白に糖が結合する.この反応はメイラード反応あるいはグリケーションと呼ばれるが(図1),最終的には後期段階生成物(advanced glycation endoproducts;AGE)となる.血糖コントロールのマーカーとして日常診療で使われているヘモグロビンA1c,フルクトサミンなどは可逆的糖化蛋白で,アマドリ型である.高血糖が長期に続くと生体内で寿命の長い蛋白類は糖化される.例えば上記のヘモグロビンのほかに水晶体クリスタリン,アルブミン,アンチトロンビンIII,フィブリノゲン,LDL,HDL,インスリン,コラーゲン,ケラチン,ミエリン,赤血球スペクトリンなどが糖化されると報告されている.そして実際アテローム硬化の部位にこれらの糖化蛋白が沈着しているという報告もある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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