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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査 血栓症治療薬とモニター検査

4.t-PA,ウロキナーゼ

著者: 後藤信哉1 半田俊之介1

所属機関: 1東海大学医学部第一内科

ページ範囲:P.287 - P.291

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はじめに
 組織に酸素を供給する動脈が血栓性に閉塞して虚血あるいは壊死の危険に曝されたとき,血栓による閉塞を解除して組織への血液供給を再開する手段として血栓溶解療法が選択される.冠状動脈の血栓性閉塞による急性心筋梗塞症に対してウロキナーゼ(uro-kinase),組織plasminogen activator (t-PA)などの線溶薬による血栓溶解療法を施行すると,死亡率の減少1,2),左室機能の改善3)など延命につながる効果を期待できることが複数の大規模臨床研究により明確に示されている.
 最近では,米国の一部の施設を中心として,脳梗塞症においても血栓溶解療法により神経症状の発現を抑制し得るとの報告4)もみられ,肺塞栓症5),下肢静脈血栓症などと併せて血栓溶解療法の適応は拡大する傾向にある.血栓溶解療法は,閉塞血栓の溶解,組織灌流の再開という明確な臨床的有効性を有する一方,止血血栓の溶解による出血性合併症という重篤な合併症の可能性を常に内在している.出血というnegativeな効果を最小にして,positiveな効果を最大に引き出すためには,血栓溶解療法に伴う線溶動態の変化のみならず,凝固,血小板機能を含めた生体内の血栓形成と溶解のダイナミックなバランスに及ぼす効果を慎重にモニタリング(monitoring)し,必要に応じて適切な対策を立てることが必須となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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