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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻7号

1996年07月発行

文献概要

今月の主題 ニューロパチーの臨床検査 話題

体性感覚誘発電位による末梢感覚神経伝導の観察

著者: 高田博仁1 尾崎勇2 馬場正之3

所属機関: 1Copenhagen大学Rigshospitalet臨床神経生理 2弘前大学医学部第三内科 3弘前大学医学部附属脳神経疾患研究施設臨床神経部門

ページ範囲:P.811 - P.813

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1.はじめに
 感覚神経活動電位(SNAP)を誘発できない末梢神経障害例は少なくない.しかし,そのような場合でも,末梢感覚神経の伝導機能を客観的に評価するパラメーターは必要である.一方,SNAPが誘発されない症例でも,体性感覚誘発電位(SEP)の皮質成分ならば導出可能な場合が比較的多い.そのSEPに着目し,近位部刺激と遠位部刺激とによって得られる皮質SEPの潜時差から感覚神経伝導速度(SCV)を算出した試みが散見される.その場合,SEP成分は頂点潜時によって測定されるのがこれまで一般的であった.しかし,SEPによる伝導速度測定の場合でも,一般の末梢神経伝導検査と同様に,最速神経線維の伝導時間が反映される立ち上がり潜時によってSCVを算出するのが,臨床的観点からは望ましい.しかし,対側頭頂部-Fzの1チャンネルによる導出法では,皮質SEP(N20-P20など)の立ち上がり潜時を同定しにくい場合が多い.こういった立場から,われわれは複数のチャンネルからの同時記録からSEP成分の立ち上がり潜時を測定する方法を考案し,その方法で得られたSCVが従来の頂点潜時による測定よりも正確であることを主張してきた1,2).皮質SEPの立ち上がり潜時からSCVを算出する方法の臨床応用の一例として,健常人および遺伝性運動感覚ニューロパチー(HMSN)症例における結果を紹介したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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