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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻7号

1996年07月発行

文献概要

今月の主題 ニューロパチーの臨床検査 話題

ギラン・バレー症候群とガングリオシド抗体

著者: 楠進1

所属機関: 1東京大学医学部脳研究施設神経内科

ページ範囲:P.821 - P.823

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1.はじめに
 ギラン・バレー症候群(GBS)は,急性の運動麻痺を主症状とするニューロパチーであり,多くの場合,上気道感染や消化器感染などの先行感染があり,その約1週間から10日後に発症する.単相性の経過をとり,通常は再発などのない疾患であり,病態としては自己免疫が考えられている.補助診断検査としては,髄液の蛋白細胞解離や電気生理学的検査における異常所見が知られているが,近年血中ガングリオシド抗体の測定が有用であることが明らかになってきた.
 ガングリオシドは糖鎖部分にシアル酸を含む糖脂質であり,糖鎖構造の違いによりさまざまな分子種が存在する(図1).特に神経系に豊富に分布しており,細胞表面に表現されて,細胞認識や相互作用に関与していると考えられている.自己免疫機序によるニューロパチーでは,しばしば血清中にガングリオシドなどの糖鎖を認識する抗体が検出されることがわかってきた1).なかでもGBSでは症例により認識されるガングリオシドの分子種が多様であり,なかには臨床症状との特異的な対応がみられるものもあり,抗体価は経過とともに低下消失するなどの特徴があることから,診断的意義が高い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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