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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻7号

1996年07月発行

文献概要

トピックス

凝集コロイド

著者: 広川満良1

所属機関: 1川崎医科大学病理学

ページ範囲:P.844 - P.846

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 甲状腺は大小さまざまな類球形の濾胞からなり,その内腔には濾胞上皮細胞によって分泌されたコロイドが蓄えられている.このコロイドは,HE染色にて淡赤色,均一に染まり,特定の形態をしていないが,ときに顆粒状~塊状の形をしたコロイドが見られることがあり,凝集コロイドと呼ばれている1,2).凝集コロイドの出現機序やその成分は明かにされていないが,最近細胞診標本中における凝集コロイドの存在が良性を示唆する指標になると報告3)され,脚光を浴びている.
 凝集コロイドは剖検例の正常甲状腺にてしばしば観察される(図1,2).染色性はやや好塩基性を示し,Azan染色で赤色を呈することが多い.1つの濾胞内における凝集コロイドの数は数個のものから多数のものまでさまざまで,濾胞内に均等に分布しているものや一側に集まっているものもある.凝集コロイドが少ない濾胞では背景に通常の好酸性コロイドが観察されるが,凝集コロイドを多く含む濾胞では正常の好酸性コロイドはほとんどみられない.手術材料においては,副甲状腺機能亢進症症例の甲状腺組織で,特に凝集コロイドが目立つ症例が多い.また,腺腫様甲状腺腫や濾胞性腺腫では,ほぼ正常の大きさ(normofollicular lesion)か,それより大きい濾胞性病変部(macrofollicular lesion)で凝集コロイドが観察されることがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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