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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻8号

1996年08月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編

PAG電気泳動の実際

著者: 須藤加代子1

所属機関: 1東京慈恵医科大学第三病院臨床検査医学

ページ範囲:P.955 - P.958

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はじめに
 ポリアクリルアミドゲル(PAG)は,アクリルアミドがビスアクリルアミドを架橋剤として重合し,三次元の網目の化学結合を形成している.したがって,PAG電気泳動は,ゲルの網目構造による分子篩作用を受けて分離される.核酸の等電点が強酸性のため中性の緩衝液中では各ヌクレオチドは負に荷電しており,電気移動度は塩基組成にほとんど依存せず,分子の大きさに依存して泳動される.大きい分子ほど移動度が小さい.数千ヌクレオチド2本鎖長(bp)程度の大きな核酸はこのPAGに入ることが難しく,通常1,000bp以下の核酸の泳動に用いられる。ゲル濃度は,目的とする核酸の大きさにより3.5~20%のものが用いられる.表1に各%における分離可能な2本鎖DNAの鎖長(bp)を示した.PAGはアガロースゲルよりも作製に手間がかかり保存が困難などの欠点があるが,より低分子の核酸の泳動に適している.したがって,PAG泳動は,PCR-SSCP (single strand confor-mation polymorphisms)法,DNAの塩基配列の決定,本シリーズの6.RFLP法などに用いられている.本稿においては誌面の都合で概略の説明となってしまう所も多々あるので,具体的な手法としては,遺伝子技術マニュアル1)を参考にしていただきたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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