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雑誌詳細

文献概要

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編

サイトメガロウイルス

著者: 柴田元博1

所属機関: 1社会保険中京病院小児科

ページ範囲:P.959 - P.963

はじめに
 サイトメガロウイルス(CMV)は,ヘルペスウイルス科に属するDNAウイルスである.日本人では成人の90%以上がCMVに既感染である(抗体を保有している)が,通常CMV感染(CMV infection)は無症状に終わり(不顕性感染),症候性感染すなわちCMV感染症(CMV disease)として問題となることは多くなかった.CMV感染症が臨床上注目を集めるようになったのは,易感染宿主の増加に伴ってである.
 骨髄移植をはじめとして臓器移植が広く行われるようになり,また一方でエイズ患者や強力な化学療法を受けている癌患者らの易感染宿主が増加し,CMVが病原性を発揮するようになった.易感染宿主におけるCMV感染症はしばしば致命的となるが,ガンシクロビルなどの抗ウイルス剤が使用できるようになり,早期診断・早期治療が臨床上重要な課題となっている.本稿ではCMV感染症の診断に用いられる検査法,診断を行ううえでの問題点を概説し,その中で遺伝子診断をどう位置づけていくかについて解説を加えたい.

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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