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文献詳細

雑誌文献

臨床検査41巻1号

1997年01月発行

文献概要

今月の主題 スポーツと臨床検査 話題

高地トレーニング

著者: 浅野勝己1

所属機関: 1筑波大学体育科学系運動生理学研究室

ページ範囲:P.73 - P.75

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1.はじめに
 高地トレーニングは高所トレーニングとも言われる.この"高地"あるいは"高所"とは,標高の高い気圧の低い環境すなわち"低圧環境"を意味している.この低圧は大気圧の低下に伴う酸素分圧の減少を生じて,低圧低酸素環境をもたらすことになる.例えば,アトランタ五輪女子マラソン3位の有森裕子選手が高地トレーニングを行ったアメリカのコロラド州ボルダー(2,300m)は,約0.8気圧(580torr)であり,平地で約16%の低濃度酸素を吸入している状態に相当している.このような低圧低酸素環境において持久性トレーニングを行うことは,平地でのトレーニングに比べ相対的運動強度が高くなり,組織細胞への低酸素状態を一層増強することになる.すなわち低圧低酸素環境への滞在による安静時の呼吸循環系の亢進(受動的効果)のうえに,トレーニングによる生理的効果(積極的効果)を加えた合成効果を得ることが期待される.この高地トレーニングを一定期間継続すると,組織への酸素運搬能は急性適応から次第に慢性適応へ移行してくる.これが高地順化であり,この効果が平地および高地での競技力向上に貢献するものと期待されるわけである.そこで高地トレーニングに関する最近のトピックスを紹介してみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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