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文献詳細

雑誌文献

臨床検査41巻11号

1997年10月発行

文献概要

特集 神経系疾患と臨床検査 Ⅰ.生化学・遺伝子

7.家族性筋萎縮性側索硬化症

著者: 中野亮一1

所属機関: 1新潟大学脳研究所神経内科

ページ範囲:P.1261 - P.1266

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はじめに
 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclero-sis;ALS)は代表的な神経変性疾患の1つで,米国の著名な野球選手であるLou Gehrigが本症に罹患したことから米国ではLou Gehrig病とも呼ばれている.ALSは上位運動ニューロン(大脳運動野のBetz巨細胞と錐体路)と下位運動ニューロン(脊髄前角細胞と下部脳幹運動性脳神経核)が選択的かつ系統的に障害されるため,運動ニューロン病(motor neuron dis-ease;MND)とも言われるが,この用語はALSのほか,病変が脊髄前角細胞だけに限局する進行性脊髄性筋萎縮症(spinal progressive muscular atrophy;SPMA)や家族性痙性対麻痺(familial spastic para-plegia;FSP),常染色体劣性遺伝を示すKugelberg-Welander病,Werding-Hoffmann病などの総称としても用いられることもあり,注意が必要である.
 ALSは一般には遺伝歴はなく,孤発性の疾患であるが,なかには遺伝性に発症する例があり,このような症例は家族性筋萎縮性側索硬化症(familial amyo-trophic lateral sclerosis;FALS)と呼ばれている1).最近,FALSの20%程度はフリーラジカルの消去に重要なCu/Znスーパーオキシドジスムターゼ(Cu/Znsuperoxide dismutase;SOD 1)遺伝子のミスセンス変異が原因であることが明らかにされ2,3),現在原因が全く不明である孤発性ALSの病因解明にも大きく寄与するものとして注目されている.本稿ではFALSの臨床・病理とSOD 1遺伝子変異,変異による運動ニューロンの変性機構など,最近の知見をまとめてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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