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文献詳細

雑誌文献

臨床検査41巻11号

1997年10月発行

文献概要

特集 神経系疾患と臨床検査 Ⅰ.生化学・遺伝子

11.SCARMDまたはsarcoglycanopathy

著者: 水野裕司1 小沢鍈二郎2

所属機関: 1国立精神・神経センター 神経研究所,群馬大学医学部神経内科 2国立精神・神経センター 神経研究所

ページ範囲:P.1282 - P.1286

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はじめに
 X染色体劣性の遺伝形式をとるDuchenne muscu-lar dystrophy (DMD)とよく似た疾患にsevere child-hood autosomal recessive muscular dystrophy(SCARMD)がある1,2).この疾患は最初DMDの一部として扱われたが,その後常染色体劣性の遺伝形式をとることがわかり,DMDとは全く異なった疾患と理解された.すなわち,サルコグリカン複合体の構成成分であるα-3),β-4,5),γ-6),δ-7,8)サルコグリカン遺伝子のうちのいずれか1つの変異により,その蛋白質の合成に異常をきたすことが原因で起こる疾患である.ところが,4種類のサルコグリカンのどれか1つが失われると二次的に複合体全体が失われることになり,そのために,筋の変性や壊死が生じると考えられている.現在ではSCARMDは疾患の集合であり,生化学的に明らかにされたサルコグリカン複合体の異常であることが判明している.わが国におけるSCARMDの患者数はDMDの5%程度ではないかと推定されており9),血族結婚が少ない日本においては今後この数字が増えることはないだろう.一方,いとこ婚などが習慣的に行われているアラブ圏,例えばクウェートではDMD患者の36.6%であるという報告もある10).DMDとSCARMDを別々に論ずることは困難であるが,ここでは後者を中心に述べることにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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