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文献詳細

雑誌文献

臨床検査41巻11号

1997年10月発行

文献概要

特集 神経系疾患と臨床検査 Ⅱ.免疫 ミニ情報

HIV神経障害と免疫学的検査

著者: 岸田修二1

所属機関: 1東京都立駒込病院神経内科

ページ範囲:P.1334 - P.1334

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 HIV-1は終局的に感染宿主の高度な免疫組織の荒廃を起こし,日和見感染,悪性腫瘍を併発,さらに高率に神経合併症をきたす.神経障害はAIDS患者の約40%にみられ,約10%は神経症状がAIDSの初発症状となる.病理解剖学的には70~90%のAIDS患者で神経系障害が認められる.神経症状はHIV-1感染の早期からみられるが,ほとんどはAIDS指標疾患の出現後にみられ,また,中枢神経から末梢神経系に及んだ多彩な病変が合併する.半数はHIV-1が直接関与した病態であり,半数は免疫不全の結果からもたらせられる日和見感染,悪性腫瘍が原因となる.
 神経症状はHIV-1の病期,すなわち免疫状態の推移と密接な関係を有するので,神経症状の鑑別には免疫状態を考慮することが重要である.図1にHIV-1感染後の免疫状態と代表的神経疾患を示したが,①HIV-1感染初期の中枢神経症状として無菌性髄膜炎,ミエロパチー,②無症候期の神経症状として無菌性髄膜炎,③HIV-1感染後期の通常CD 4+陽性リンパ球数200個/mm3未満ではHIV脳症,空胞性脊髄症などHIV-1原発性中枢神経症状,トキソプラズマ症,クリプトコッカス性髄膜炎など日和見感染症が出現,さらに100個未満になると脳原発悪性リンパ腫,進行性多巣性白質脳症,50個未満になるとサイトメガロウイルス脳炎の発症頻度が高くなる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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