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特集 神経系疾患と臨床検査 Ⅱ.免疫 ミニ情報
イオンチャネル抗体
著者: 有村公良1
所属機関: 1鹿児島大学医学部第3内科
ページ範囲:P.1355 - P.1355
文献購入ページに移動 イオンチャネルはすべての細胞の細胞膜上に存在し,特に電位依存性イオンチャネルは神経,筋肉などの興奮性細胞で,その機能を発揮するうえで不可欠である.近年,ミオトニア疾患などの神経,筋疾患でイオンチャネルの異常が発見され病態のメカニズムが明らかになっている.多くは先天性疾患で遺伝子異常がその原因であるが,後天性疾患の一部で免疫異常に伴うイオンチャネルの機能異常が証明されている.筋無力症候群でのカルシウムチャネルへの抗体や重症筋無力症でのアセチルコリンレセプター抗体などである.それらの抗体はイオンチャネルに直接あるいは間接的に作用することで細胞の機能を抑制(興奮性の低下)し症状を出現させるが,ターゲットとするチャネルの性質によっては逆に細胞を過興奮状態にする場合もある.われわれは筋痙攣,多汗を主徴とするIsaacs症候群と呼ばれる疾患で末梢神経の電位依存性カリウムチャネル(VGKC)を抑制する抗体が存在することを証明した1,2).VGKCは興奮性細胞でナトリウムチャネルの開口により発生する活動電位を速やかに静止状態に戻す役割を担っている.このためVGKCの抑制は細胞の過興奮をもたらす.このように細胞の正常な興奮には各イオンチャネルのバランスが保たれることが必要であり,それが崩れた際は正常な機能を維持できなくなる.今後も新たに興奮性異常をきたす疾患でイオンチャネルとの関連が見いだされていくと予想される.
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