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特集 神経系疾患と臨床検査 Ⅲ.神経生理 2.脳波・誘発電位
5)事象関連電位(ERP)
著者: 大澤美貴雄1
所属機関: 1東京女子医科大学脳神経センター神経内科
ページ範囲:P.1402 - P.1407
文献購入ページに移動はじめに
事象関連電位(event-related potential;ERP)は,刺激の予期,注意,認知,識別,検索,意思決定,記憶などの認知過程に対応する大脳の活動を反映し,内因性電位とも称せられる1~4).誘発電位,すなわち外因性電位が外的刺激に対する直接的な反応で刺激の物理的特性に依存し,潜時が100msec以内と短いのに比し刺激の物理的特性には直接依存せず,刺激の種類にかかわらず頭皮上広く誘発され,その潜時が100msec以上と長い1~4).一般にERPを誘発させるには,それに対応するある特定の心理過程を引き出す目的で設定,操作される刺激―反応の組み合わせ,すなわち課題(paradigm)が用いられる3,4).ERP成分は,既述した種々の情報処理過程に対応する脳の連続的な電位変化として捉えられ,情報処理の時間的推移や各処理過程間の時系列に関する情報をリアルタイムで検討しうる利点を有する3,4).
本稿ではERPのうち,P 300を主体に,早期陰性成分のN 2(N 2 b),mismatch negativity (MMN),NAについて各々の検査法を中心に概説する.
事象関連電位(event-related potential;ERP)は,刺激の予期,注意,認知,識別,検索,意思決定,記憶などの認知過程に対応する大脳の活動を反映し,内因性電位とも称せられる1~4).誘発電位,すなわち外因性電位が外的刺激に対する直接的な反応で刺激の物理的特性に依存し,潜時が100msec以内と短いのに比し刺激の物理的特性には直接依存せず,刺激の種類にかかわらず頭皮上広く誘発され,その潜時が100msec以上と長い1~4).一般にERPを誘発させるには,それに対応するある特定の心理過程を引き出す目的で設定,操作される刺激―反応の組み合わせ,すなわち課題(paradigm)が用いられる3,4).ERP成分は,既述した種々の情報処理過程に対応する脳の連続的な電位変化として捉えられ,情報処理の時間的推移や各処理過程間の時系列に関する情報をリアルタイムで検討しうる利点を有する3,4).
本稿ではERPのうち,P 300を主体に,早期陰性成分のN 2(N 2 b),mismatch negativity (MMN),NAについて各々の検査法を中心に概説する.
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