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文献詳細

雑誌文献

臨床検査41巻11号

1997年10月発行

文献概要

特集 神経系疾患と臨床検査 Ⅲ.神経生理 ミニ情報

神経伝導検査と皮膚温

著者: 廣瀬源二郎1

所属機関: 1金沢医科大学神経内科

ページ範囲:P.1431 - P.1431

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 神経伝導速度(以下NCV)測定に関する注意点としては,刺激,導体(被検者)および反応波形の問題がある.この中で一番問題となるのは被検者因子であり,その中でも患者の年齢と皮膚温が測定値に最も関係する.NCVと皮膚温との関係は多くの研究により検討され,両者には直線的正の相関があることが証明されている.Henriksenは筋肉内温度1℃上昇につき2.4m/sec,Buchthalらは21~36℃の範囲では1℃につき2m/sec.の増加を報告しており,われわれの研究でも1℃につき正中神経2.00m/sec,尺骨神経1.98m/secの増加,下肢腓骨神経では1.37m/sec後脛骨神経1.57m/secの増加がみられることを確認している.皮膚温の日内変動では,体温の変動に伴い午後から夕方にかけ上昇し,2~2.5℃の変動がみられる.特に皮膚温は健常者でも四肢末梢でより低く,ニューロパチーではさらに低いため,正確なNCVの測定には温度補正が必要となる.簡便な方法としては室温を年間を通じて26~30℃と一定に保ち,皮膚温が低い(34℃以下)ときには赤外線ランプで暖めてから測定すべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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