文献詳細
今月の主題 白血病・最近の進歩
技術解説
文献概要
近年,抗腫瘍剤耐性の分子機構の解明とDNA操作技術の開発は,白血病における耐性遺伝子の検出を可能にした.多剤耐性の分子機構として,①化学構造が異なる多剤を細胞外に排出する細胞膜のP糖蛋白質(P-glycoprotein;P-gp)をコードするmdr 1遺伝子発現,②トポイソメラーゼ阻害剤やDNA架橋薬剤の標的酵素トポイソメラーゼⅡ(トポⅡ)活性低下では,遺伝子発現低下または変異,さらに,③ATP結合性多剤耐性関連蛋白質(multidrug resistance-associat-ed protein;MRP)遺伝子が新たに単離され,その発現と耐性との関係が解明されつつある.これら遺伝子発現の検出に,特定の遺伝子断片を特異的に増幅するポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法は,感度高く迅速かつ簡便な方法である.定量的解析には,増幅反応条件の設定と対照遺伝子の同時増幅が大切である.多剤耐性遺伝子の検査は,簡便,迅速に治療反応性の指標を提供するため,白血病のより適切な診断と治療成績向上に貢献しうる.
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