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今月の主題 白血病・最近の進歩 話題
トランスジェニックマウスを用いた白血病発症機構の研究
著者: 浅野嘉延1 仁保喜之1
所属機関: 1九州大学医学部第1内科
ページ範囲:P.317 - P.319
文献購入ページに移動1.はじめに
近年の発生工学的手法の進歩により,個体レベルでの遺伝子操作が可能となった.理論的には各種動物の遺伝子改変が可能であるが,実際には取り扱いが容易なこと,性成熟期間が短いこと,臓器構成が比較的ヒトに類似していることなどから,マウスを実験対象とすることが多い.遺伝子改変マウスには,目的とする特定の遺伝子を個体内で過剰発現させた遺伝子導入マウス(トランスジェニックマウス)と,特定の遺伝子に変異を導入し遺伝子機能を欠損させた遺伝子破壊マウス(ノックアウトマウス)がある.これらの遺伝子改変マウスの表現型を解析することで,特定の遺伝子の生物学的な機能を個体レベルで検討することができ,さらにヒトの疾患に関与する遺伝子を導入あるいは破壊することで疾患モデルマウスの作製を試みることができる.
一方,白血病の発症には各種の癌遺伝子や癌抑制遺伝子の多段階な変異が関与していると考えられている.これまでに,白血病の病型に特異的な染色体異常の検討などから,白血病発症に関与する数多くの癌関連遺伝子が同定されてきた.これらの遺伝子の白血病に及ぼす影響を個体レベルで発症から死亡まで包括的に解明するため,遺伝子改変マウスを用いた種々の検討が行われ,いくつかの白血病モデルマウスが報告されている.本稿では,遺伝子改変マウスの作製法の説明は割愛し,癌関連遺伝子の遺伝子改変マウスを用いた白血病発症機構の研究について,最近の進歩を概説する.
近年の発生工学的手法の進歩により,個体レベルでの遺伝子操作が可能となった.理論的には各種動物の遺伝子改変が可能であるが,実際には取り扱いが容易なこと,性成熟期間が短いこと,臓器構成が比較的ヒトに類似していることなどから,マウスを実験対象とすることが多い.遺伝子改変マウスには,目的とする特定の遺伝子を個体内で過剰発現させた遺伝子導入マウス(トランスジェニックマウス)と,特定の遺伝子に変異を導入し遺伝子機能を欠損させた遺伝子破壊マウス(ノックアウトマウス)がある.これらの遺伝子改変マウスの表現型を解析することで,特定の遺伝子の生物学的な機能を個体レベルで検討することができ,さらにヒトの疾患に関与する遺伝子を導入あるいは破壊することで疾患モデルマウスの作製を試みることができる.
一方,白血病の発症には各種の癌遺伝子や癌抑制遺伝子の多段階な変異が関与していると考えられている.これまでに,白血病の病型に特異的な染色体異常の検討などから,白血病発症に関与する数多くの癌関連遺伝子が同定されてきた.これらの遺伝子の白血病に及ぼす影響を個体レベルで発症から死亡まで包括的に解明するため,遺伝子改変マウスを用いた種々の検討が行われ,いくつかの白血病モデルマウスが報告されている.本稿では,遺伝子改変マウスの作製法の説明は割愛し,癌関連遺伝子の遺伝子改変マウスを用いた白血病発症機構の研究について,最近の進歩を概説する.
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