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文献詳細

雑誌文献

臨床検査41巻3号

1997年03月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編

Wilson病

著者: 清水教一1

所属機関: 1東邦大学医学部第二小児科学教室

ページ範囲:P.326 - P.329

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はじめに
 Wilson病は,常染色体劣性遺伝形式をとる先天性銅代謝異常症の代表的疾患である.肝臓,中枢神経,角膜および腎臓などの各種臓器に銅が過剰に蓄積することにより,種々の症状が出現する.わが国における発症頻度は,3.5~4.5万人に1人と先天代謝異常症としては比較的頻度の高い疾患である1).臨床的には,肝硬変,錐体外路症状そしてKayser-Fleischer角膜輪を3主徴とする.また,肝型,肝神経型,神経型,劇症肝炎型および発症前型に病型が分類される1).特徴的検査所見としては,血清銅値およびセルロプラスミン値の低下,尿中銅排泄量の増加および肝銅含量の著明な増加が挙げられる.本症の病態としては,肝臓における胆汁中への銅の排泄および活性型セルロプラスミン合成の障害が主体であると考えられている.これにより肝細胞内に銅が過剰に蓄積し,肝細胞壊死を引き起こす.また,肝臓よりoverflowして血液中へ流出した非セルロプラスミン銅が,中枢神経,角膜あるいは腎臓などの種々の臓器へ沈着し,それらの臓器障害を引き起こす.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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