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グリコヘモグロビンの標準化に関する委員会の活動状況
著者: 島健二1
所属機関: 1徳島大学医学部臨床検査医学
ページ範囲:P.331 - P.333
文献購入ページに移動 1993年6月,日本糖尿病学会グリコヘモグロビンの標準化に関する委員会(以下委員会)は全国107施設を対象にHbA1C測定の精度管理調査を行った1).その結果,健常者新鮮血,糖尿病患者新鮮血を検体とした場合の測定値の分布は二峰性になり,その際の変動係数(CV)はそれぞれ10.4,10.5%ときわめて大きく,測定値が施設間で著しくばらついていることがわかった(図1).精度管理調査結果を種々検討し,この大きな施設間差の原因として2つの因子が浮かび上がってきた.その1点は不安定HbA1Cを含んで測定している施設と安定型HbA1Cのみを測定している施設の存在,他の因子は,用いている機種による測定値の差(機種間差)である.委員会としては安定分画のみの測定を勧告した.また委員会は基準となる標品を作製し,それに値付けし,この表示値で測定値を補正するという方策を提案した.この2つの方策,すなわち安定型のみの測定,標品での測定値の補正に従って測定した場合,測定値の施設間差がどのように改善されたか,1994年4月に前記107施設を対象に調査した2).新鮮血材料のみの結果を図2に示す.A,Cが健常者新鮮血,B,Dが糖尿病患者新鮮血で,C,Dがそれぞれ標品の測定値で補正した測定値の分布を示したものである.図1と異なり,分布は2峰性でなく1峰性になっていること,さらに補正したC,Dにおいては分布幅が一層縮まっていることが明らかである.
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