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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査41巻5号

1997年05月発行

雑誌目次

今月の主題 自己抗体・最近の動向

巻頭言

自己抗体検査の問題と未来

河合 忠

pp.489-490

 自己免疫疾患は,別名自己アレルギー疾患とも呼ばれることがある.免疫とは本来宿主を異物の進入から守るための働きであるから,むしろ病的な免疫応答機能としてのアレルギーを使うほうが正しいという考え方である.しかし,自己抗原に対する免疫応答の結果として現れる自己抗原感作T細胞,および自己抗体がすべて病的反応であるかどうかは,いまだ確認されているわけではない.例えば,変性IgGに対する自己抗体と考えられているリウマトイド因子が生体にとって悪さをして発病に至るとばかりは言えない.むしろ適量のリウマトイド因子は正常の免疫防御機構の結果として生じた微量の変性IgGを持続的に除去(クリア)するのに役だっているという考え方もできる.それでは,"悪玉"自己抗体と"善玉"自己抗体は違った抗体分子であるのか,同じ抗体分子であるのかも不明である.それは,両者を見分けるための確定的な検査法がないからである.もしそのような検査法が開発されたならば,それこそ自己免疫疾患の診療に画期的な有用性をもってくると考えられる.

 もう1つの問題点として,自己抗体のみで自己免疫疾患を発病するのはむしろ少なく,発病に関しては自己抗原感作T細胞が主役を演じていると考えられている.それにもかかわらず,自己抗原感作T細胞を検出する日常検査法はいまだ開発されていないので,自己抗体と発病の関連性が不確かのままに検査が行われており,それだけに自己抗体検査の臨床的な意義は限られているのである.

総説

自己抗体とその臨床的意義

粕川 禮司 , 宮田 昌之 , 木暮 敦子

pp.491-496

 膠原病にみられる主な自己抗体を挙げ,その臨床的意義を示した.慢性関節リウマチ,全身性エリテマトーデス,強皮症,多発性筋炎,オーバーラップ症候群を診断するうえで重要な自己抗体を特に示した.自己抗体の多くはその病因的意義は明らかではない.抗DNA抗体は,DNAと結合した免疫複合体として腎障害や血管病変の成立に関与すると考えられている.抗SS-A抗体は胎児の完全房室ブロックに関与し,抗カルジオリピンβ2GPI抗体は血栓形成,血管病変の成立に関与する.

抗核抗体の新しい展開

大曽根 康夫 , 三森 経世

pp.497-501

 現在,抗核抗体が認識するほとんどの核抗原がクローニングされている.その結果,リコンビナント蛋白抗原を用いてさまざまな抗核抗体を特異的かつ鋭敏に測定することが可能となった.また抗原エピトープの構造に共通する特徴があることが明らかとなり,抗核抗体の産生には核抗原が直接関与していることが示唆された.さらに核抗原と反応するT細胞クローンが存在することや,自己反応性T細胞レセプターが認識する核抗原の部位も明らかになりつつある.以上の成果に基づき,今後は自己抗原反応性T細胞の詳細とその制御が重要な課題である.

精度管理調査からみた現状と問題点

リウマトイド因子

吉田 浩

pp.503-507

 リウマトイド因子(RF)測定に関するわが国の現状と問題点について,日本医師会で行ってきた精度管理調査成績を中心に述べた.測定法については定量法が増えており,半定量法は減少している.定性法については,原血清法を用いている施設が,多くみられている.施設間差の改善が求められているが,種々の問題があり,メーカーとユーザーの,より緊密な協調と努力があれば改善がみられよう.

抗核抗体

宮脇 昌二 , 浅沼 浩子

pp.508-516

 今日,間接蛍光抗体法による抗核抗体の検出は,膠原病疾患の診断や鑑別上不可欠の検査として広く第一線の医療現場に定着している.しかし,どのように精度管理を行っても,カットオフ値,抗体価などにばらつきが生じるため,臨床側の慎重な対応が必要である.また本来個別抗核抗体の識別を目的として導入された染色型の臨床的解釈には限界が認められ,検査側と臨床側との間に大きな溝が生じているのが現状である.

注目されている自己抗体

抗リン脂質抗体

鏑木 淳一

pp.517-521

 抗リン脂質抗体には,ループスアンチコアグラント,カルジオリピン・フォスファチジルセリンなど陰性荷電を有するリン脂質に対する抗体のほか,β2-glycoprotein I(β2-GPI),プロトロンビンなど蛋白質に対する抗体が含まれる.動静脈血栓症,習慣流産(子宮内胎児死亡),血小板減少症といった抗リン脂質抗体陽性例に特徴的な臨床所見が見いだされ,抗リン脂質抗体症候群という疾患概念が確立された.

クラス特異的リウマトイド因子

岩名 輝美恵 , 青塚 新一 , 西岡 久寿樹

pp.523-528

リウマトイド因子(RF)には,IgM-RF,IgG-RF,IgA-RF,IgE-RFの存在が知られている.RFisotypeはラジオイムノアッセイや酵素免疫法によって測定され,測定キットが開発市販されている.IgM-RFは慢性関節リウマチの活動性と相関すると言われており,IgG-RFは活動性以外に関節外症状との関連を指摘されている.IgA-RFは活動性や骨びらんと,IgE-RFも関節外症状との関連性を報告されている.しかし,いずれの評価も確定しているわけではなく,病態とのかかわりなど今後もRF isotypeの研究解明が必要である.

抗PCNA抗体

高崎 芳成

pp.529-534

 抗PCNA抗体はSLEの患者で特異的に検出される抗核抗体の1つで,その対応抗原はDNAポリメラーゼδがDNAの複製を行う際,補助蛋白として作用する.本抗体は蛍光抗体間接法で特異な染色像を示すが,最終的な同定は二重免疫拡散法によって行われる.出現頻度は低いが,SLEに特異的に検出され,CNSループス,腎症,血小板減少症などの病像と相関する.本抗体産生の機構では抗原提示が重要な役割を有している.

抗好中球細胞質抗体(ANCA)

吉田 雅治

pp.535-540

 抗好中球細胞質抗体(anti neutrophil cytoplasmic antibody; ANCA)は,間接蛍光抗体法上好中球細胞質がびまん性に染色される(C-ANCA)と,核の周辺が強く染色される(P-ANCA)の2型に分かれる.C-ANCAの対応抗原はプロテイナーゼ-3(PR-3)でWegener肉芽腫症に特異的で,P-ANCAの対応抗原はミエロペルオキシダーゼ(MPO)で,肺・腎の壊死性血管炎を呈する疾患で陽性を示し,ANCAは疾患活動性と相関して変動する.

内分泌疾患と自己抗体

甲状腺

多田 尚人 , 網野 信行

pp.541-546

 主要な甲状腺自己抗体には抗サイログロブリン抗体,抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体,抗TSH受容体抗体がある.前2者は,自己免疫性甲状腺疾患における陽性率はきわめて高く,その存在診断に用いられる.最近は純化された抗原を用いたRIA,EIAが開発されている.抗TSH受容体抗体は,バセドウ病の原因となる自己抗体で診断,治療経過の判定に有用である.抗TSH受容体抗体の機能を測定する高感度な方法は熟練を要するバイオアッセイしかなく,今後の開発が期待される.

膵島抗体

河西 浩一

pp.547-552

 インスリン依存型糖尿病(IDDM)は自己免疫疾患であり,IDDM患者の血中には種々の自己抗体が認められる.最初に発見された"ラ島細胞抗体(ICA)"ラ島細胞抗体(ICA)はIDDMの診断のみならず,病状の進行,発症の予知のマーカーとして繁用されてきたが,近年,グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)に対する抗体の検査が臨床的に用いられるようになってきた.さらに最近ではAI-2(ICA 512)抗体や,AI-2とトリプシン処理37kD抗原の相同性が明らかにされ,近い将来IDDMのスクリーニング検査に使用されるものと考えられる.

副腎

東條 毅 , 橋本 尚明

pp.553-558

 慢性の副腎機能低下症は特異な症状を示し,Addis-on病として知られる.患者血清中には,蛍光抗体法で抗副腎皮質抗体が検出される.Addison病は結核などでも起こるが,同抗体は検出されない.このため抗体陽性のAddison病は自己免疫疾患と推測される.最近,この対応抗原が,チトクロームP450ステロイド合成酵素群と判明した.同酵素はリコンビナント蛋白として利用でき,抗体を特異的に検査できる.同抗体は酵素阻害活性を示し,病態形成への関与が示唆される.

性腺

香山 浩二

pp.559-564

 性腺(卵巣と精巣)に対する自己免疫応答として,前者では自己免疫性卵巣炎と,これに伴う抗卵透明帯抗体の出現,後者では自己免疫性精巣炎と,これに伴う抗精子抗体の出現が問題となる.臨床的には,内分泌臓器としての性腺の機能異常よりも,むしろ抗卵透明帯抗体と抗精子抗体による,不妊症の発生が注目されている.不妊の原因となる免疫因子には,自己抗体だけでなく,精子に対して産生されてくる女性側の抗精子抗体も重要である.

下垂体

中井 利昭

pp.565-568

 下垂体機能低下症,バセドウ病,橋本病,糖尿病患者血中に下垂体抗体が存在することが,近年明らかにされた.自己免疫疾患診断のマーカーとして臨床的に用いて有用であるが,今後この抗体の本態の研究を発展させ,自己免疫性多臓器内分泌障害の解明も重要であろう.

今月の表紙 深在性真菌症の臨床検査シリーズ・1

アスペルギルス症(1)

山口 英世 , 内田 勝久

pp.484-485

 アスペルギルス属菌種(Aspergillus spp.)は,自然環境内に普遍的に生息する腐生性の糸状菌であり,空中浮遊真菌,室内塵埃から分離される真菌,穀物食品中でのマイコトキシン(かび毒)産生菌の代表的なものとして知られている.そのため,Aspergillusは,気管支喘息などのアレルギー性疾患やマイコトキシン中毒症の原因となるのみならず,臨床検査室の二次汚染菌としても問題を引き起こすことが少なくない.しかし,本菌による医療上の最も重要な問題は,肺アスペルギルス症をはじめとするさまざまな病型・病態を持つ感染症の起因菌となることにある.

 環境中に生息するAspergillusは,分生子を豊富につくる.これが風に乗って飛散すると,しばしばヒトの上気道から吸入される.こうした分生子は,ときには副鼻腔などの上気道のさまざまな部位に定着し,宿主の免疫能が低下した場合などは下気道からさらに肺実質に侵入して感染を引き起こすことが少なくない.その結果,種々の病型の肺アスペルギルス症(侵襲性肺アスペルギルス症,菌球型アスペルギルス症,アレルギー性気管支肺アスペルギルス症など)を発症し,特に侵襲性病型の場合には血行性に全身諸臓器へ播種することもまれではない.これらの深在性または全身性感染に加えて,Aspergillusによる外耳道,皮膚,角膜,副鼻腔などに限局する局所感染もみられる.

コーヒーブレイク

寅次郎偲び草

屋形 稔

pp.534

 一年前の本誌5月号で"静ひつな幸せを"と題して書いた中で,山田洋次監督が寅さんの真骨頂は木陰に入り草の上で"ああくたびれた"としみじみする気にさせる何かであると指摘したくだりを紹介した.その寅さんを何十年も演じ私たちを魅了した渥美清氏も間もない8月にひっそりと鬼籍に入ってしまった.

 私も初上映以来毎年盆暮には,寅さんシリーズを必ず観ることにしていたトラキチの一人である.永い間,寅さんの故郷柴又を一度見たいと思いながらその機会がなかったが,昨年の暮れに同行の士を得て寅さん供養に出かけた.東京駅から数回乗り換え京成電鉄柴又駅の映画で見るプラットホームを降りると,草だんごの店などが並んでおり浅草の仲見世に似ているが小じんまりした感である.いわば私の故郷で見た馬市の祭りの露店を思わせる雰囲気であった.中心は寅さんが産ぶ湯を使ったという帝釈天で,その門前町といった風景である.帝釈天は笠智衆演ずる御前様の寺で,映画では鄙びていたが実際はなかなかの建造物で,重要文化財の価値があるという木彫りの外壁もあった.しかし私たちの故郷の鎮守様や菩提寺の雰囲気がやはり失われていない.

しなう心

寺田 秀夫

pp.558

 近代外科の父といわれたアンプロワーズ・パレAmbroise Pare (1517~1590)の有名な言葉に次のものがある.

 "To cure sometimes To relieve often To comfort always ときには病いを治すことができる 症状をやわらげることはしばしばできる 患者を慰めることはいつでもできる"

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編

キャピラリー電気泳動法

馬場 嘉信

pp.569-577

はじめに

 キャピラリー電気泳動は,従来のゲル電気泳動に比べて10倍以上の高速化と高精度化を実現できる新しい遺伝子解析法である1-3).キャピラリー電気泳動は,1本鎖DNAであれば,1,000塩基までのフラグメントを1塩基のみの違いで80分以内に分離することができるほどの性能を有している4).また,2本鎖DNA解析では,70から12,000塩基対のDNA断片を10塩基対程度の違いで15分以内に分離可能である5,6).当初,キャピラリーにゲルを充填したゲル充填キャピラリーが用いられていたが,最近,分子ふるい効果を有するポリマー溶液を利用したキャピラリー電気泳動が,DNA断片の高速分離に有効であることが明らかとなってきた1-3).これらの方法は,DNAの高速シークエンシング4),遺伝子のPCR解析1,5,6),疾患の遺伝子診断1),PCR-RFLP (restriction frag-ment length polymorphism)解析6),VNTR (variable number of tandem repeat)解析7),マイクロサテライト解析8,9),SSCP (single strand conformation polymorphism)解析10)への応用が進んできている.本稿では,キャピラリー電気泳動による遺伝子解析の基礎と応用について解説したい.

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編

ポリフィリン症

大門 真

pp.578-583

はじめに

 ヘムは生体内においては主に骨髄と肝臓で合成されている.約70~80%のヘムは骨髄の赤血球系細胞で合成され,グロビンに供給されヘモグロビンを形成する.残りのヘムは主に肝臓で合成され,チトクロームP-450などのヘム蛋白の配合族として利用されている.ヘム合成経路は図1に示したように,グリシンとサクシニルCoAから始まり最終的にヘムを合成する経路であり,8種類の酵素が関与している.この経路の酵素それぞれについて先天性欠損症が知られており(図1),ALAS-2遺伝子の異常から起こるX染色体性鉄芽球性貧血(XLSA)を除く他の7種類の遺伝子異常により起こる疾患をポルフィリン症と総称する.

 ヘム合成経路の律速酵素は第1番目の酵素であるALAS〔ALA (デルタアミノレブリン酸)合成酵素〕であり,最終産物であるヘムにより肝臓においてはネガティブフィードバックを,骨髄においてはポジティブフィードバックを受けている.このフィードバック機構により肝臓においては,ヘムの量を一定に保つことができ,また,骨髄においては造血反応に伴う多量のヘムの需要に対応することができる.

トピックス

抗カルパスタチン抗体

三森 経世

pp.584-585

1.カルパインとカルパスタチン

 カルパスタチン(calpastatin)とは,カルシウム依存性システインプロテアーゼの一種であるカルパイン(calpain)の特異的内在性阻害因子である.カルパインはカルパスタチンとともに哺乳動物細胞の細胞質内に普遍的に存在し,細胞内酵素(プロテインキナーゼCなど),細胞内細線維(ニューロフィラメント,ビメンチンなど),受容体蛋白(ステロイド受容体など)を基質として分解し,細胞の情報伝達や分化,増殖などに関与するものと考えられている.しかし,カルパイン/カルパスタチン系の生理的意義についてはなお不明な点が多い.近年,カルパインが筋ジストロフィーやアルツハイマー病の発症に関与する可能性が報告され注目を集めている.

 筆者らは慢性関節リウマチ(RA)を中心とするリウマチ疾患に,カルパスタチンを認識する自己抗体が高頻度に検出されることを見いだした.カルパイン活性がリウマチ疾患の関節破壊や炎症の持続に関与する可能性が以前から指摘されており,抗カルパスタチン抗体の産生はかかるリウマチ疾患の病因・病態に関連する可能性が示唆される.

抗ウロモジュリン抗体

浅野 眞一

pp.585-586

 ウロモジュリン(以下UM)は,1950年,TammとHorsfallによってミクソウイルスの血球凝集反応の阻害物質として,正常人の尿から発見された1).これは0.58mol/lのNaClにより尿から塩析される尿中糖蛋白で,尿円柱の主要成分である.UMの腎での存在部位は,蛍光抗体法ではヘンレの係蹄上行脚・遠位尿細管であると報告されている2)

 しかしながら酵素抗体法による電顕的観察ではヘンレの係蹄上行脚のみに限局され,そのほかの部位は尿路上皮への吸着にすぎないとの報告もある.またUMの物理的構造は,報告によって多少異なるが,分子量約7.5万から10万のサブユニットの連続で,2価の陽イオンの存在下でその粘稠度を増し,容易に凝集して分子量200万以上の巨大分子を形成する.

抗リボソームP抗体とlupus psychosis

一志 邦夫 , 広畑 俊成

pp.587-589

 全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う精神神経病変(CNS lupus)には多彩な症状が見られる.この中で特に頻度が高いものが,高次機能の異常と痙攣である.高次機能の異常は一般的にはlupus psychosisと称されるが,この中には見当識,記憶,認知,計算などの知的機能の異常を主徴とする脳器質症候群(organic brain syndrome)と神経症,抑うつ,精神分裂病様症状を主体とする非器質性精神病(non-organic psychosis)を含んでいる.

 1987年にBonfaら1)により抗リボソームP抗体(抗P抗体)がlupus psychosisと相関することが報告され注目を集めたが,その後反対の見解を示す報告者もあり一定の見解は得られていなかった2)

質疑応答 免疫血清

ルイス式血液型陰性個体

川 茂幸 , Q生

pp.590-591

 Q 臨床検査vol.39 no.12(1995年11月号) P1307,左側下から7行目の「人口の5~10%に存在するルイス式血液型陰性個体」について,次の質問にお答えいただきたいと思います.

 1.①日本人の5~10%のなのか,全世界の5~10%なのか.

質疑応答 診断学

HIV感染症の血清学的診断法

吉原 なみ子 , Q生

pp.591-594

 Q AIDSの診断基準とHIVの検査についてご教示下さい.

研究

胸腹水におけるコロジオンバッグを用いたセルブロック組織診の意義

三宅 康之 , 福屋 美奈子 , 鐵原 拓雄 , 畠 榮 , 北堀 美奈 , 藤井 美佳 , 広川 満良

pp.595-597

 セルブロック組織標本は作製に手間がかかるためあまり行われていないのが現状である.しかし,コロジオンバッグを用いたセルブロック法は前処理した遠沈管さえ用意しておけば,手技が簡便で,短時間でセルブロックを作製することができる.われわれの施設ではこの方法を用いて,できるだけ細胞診とセルブロック組織診を併用するようにしている.今回,このようにしてセルブロック組織診を行ってきた97症例を対象に,セルブロック組織診を行う意義について検討した.液状検体におけるセルブロック併用の意義は,①悪性細胞の検出率が増加すること,②疑陽性例の良悪性の判定に役だつこと,③免疫組織化学的検索を行うことにより良悪性の推定,組織型の推定,悪性リンパ腫のマーカー検索,原発巣の推定などが可能であることが挙げられた.

資料

大腸内視鏡で見いだされた線虫類の3種―回虫,鞭虫,蟯虫

宮原 道明 , 田尻 能祥 , 三原 哲文 , 平田 恭子 , 山口 隆司 , 池口 正知

pp.599-602

 たまたま施行された大腸内視鏡検査によって見いだされた回虫の雌虫体,鞭虫の雄虫体および蟯虫の雌虫体の3種線虫類の症例について報告した.回虫については1986年以来この10年間に,20例の虫体を観察した.内視鏡的に見いだされて摘出した症例,あるいは最近の各種診断技術の進歩に伴って診断された迷入例など回虫症を中心に文献的考察を加えた.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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バックナンバー

64巻12号(2020年12月発行)

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今月の特集2 臨床検査とIoT

64巻11号(2020年11月発行)

今月の特集1 基準範囲と臨床判断値を考える
今月の特集2 パニック値報告 私はこう考える

64巻10号(2020年10月発行)

増刊号 がんゲノム医療用語事典

64巻9号(2020年9月発行)

今月の特集1 やっぱり大事なCRP
今月の特集2 どうする?精度管理

64巻8号(2020年8月発行)

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今月の特集2 IgG4関連疾患の理解と検査からのアプローチ

64巻7号(2020年7月発行)

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64巻3号(2020年3月発行)

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今月の特集2 質量分析を利用した臨床検査

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63巻11号(2019年11月発行)

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63巻10号(2019年10月発行)

増刊号 維持・継続まで見据えた—ISO15189取得サポートブック

63巻9号(2019年9月発行)

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63巻7号(2019年7月発行)

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今月の特集2 薬剤耐性菌のアウトブレイク対応—アナタが変える危機管理

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63巻4号(2019年4月発行)

増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ

63巻3号(2019年3月発行)

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60巻10号(2016年10月発行)

今月の特集1 血球貪食症候群を知る
今月の特集2 感染症の迅速診断—POCTの可能性を探る

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今月の特集2 臨床検査領域における次世代データ解析—ビッグデータ解析を視野に入れて

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60巻2号(2016年2月発行)

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今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

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今月の特集2 検査室が育てる研修医

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59巻10号(2015年10月発行)

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今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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