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今月の主題 骨髄腫細胞とその産生蛋白 症例
アンモニア産生骨髄腫
著者: 大槻剛巳1 八幡義人2
所属機関: 1川崎医科大学衛生学 2川崎医科大学血液内科
ページ範囲:P.90 - P.94
文献購入ページに移動多発性骨髄腫は,多彩な症候を示す難治性の造血器悪性腫瘍である.現在,種々の症候や併発する病態に対する検討・解析は進んできているものの,一定の染色体異常や遺伝子変化も認められておらず,病因論的には今後の検討が待たれている.加えて,近年は唾液腺型アミラーゼの産生や高アンモニア血症を呈する症例が,特にわが国から多く報告されるようになってきており,その病態自体にもわれわれの未知の現象が存在するようである.
本稿では,われわれの経験した高アンモニア血症を合併した多発性骨髄腫の症例の概要を紹介するとともに,報告症例の文献的要約を試み,われわれの経験例から樹立されたヒト骨髄腫細胞株を用いた実験的検討にも触れ,骨髄腫細胞によるアンモニア産生を考察したい.
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