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文献詳細

雑誌文献

臨床検査42巻10号

1998年10月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編

筋萎縮性側索硬化症

著者: 中野亮一1

所属機関: 1新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科

ページ範囲:P.1148 - P.1152

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はじめに
 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclero-sis; ALS)は上位運動ニューロン(大脳運動野のBetz巨細胞と錐体路)と下位運動ニューロン(脊髄前角細胞と下部脳幹運動性脳神経核)が選択的かつ系統的に障害される代表的な神経変性疾患である.米国では著名な野球選手であるLou Gehrigが本症に罹患したことからLou Gehrig病とも呼ばれている.ALSの有病率は人口10万人当たり2~6で,主に40~50歳代に発症する.臨床症状は下位運動ニューロンの変性による著明な四肢,体幹の筋萎縮,筋力低下,筋線維束攣縮や球麻痺症状(嚥下障害,構音障害など)を認め,また上位運動ニューロンの変性による四肢の痙性麻痺,深部腱反射亢進,Babinski徴候,仮性球麻痺症状なども出現する.これらの症状がつねに進行性に悪化し,寛解を示すことはない.経過は個々の症例により異なるが,短い例では数か月,平均2~5年で全身の著しい筋萎縮と呼吸不全をきたす.末期には呼吸不全や呼吸器感染症により死亡する.
 本稿のテーマは"ALSの遺伝子診断"であるが,ALSのほとんどは孤発性疾患で,まだ原因も不明であり,現時点では実用的な遺伝子診断は存在しない.しかし,ALSの5~10%程度は家族性に発症することが知られており,この家族性筋萎縮性側索硬化症(familial ALS:FALS)の20%程度はCu/Zn super-oxide dismutase (SOD 1)遺伝子の変異が原因であることが解明されている1,2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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