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文献詳細

雑誌文献

臨床検査42巻10号

1998年10月発行

文献概要

トピックス

クララ細胞10kDa蛋白質(CC 10)/protein-1と炎症性肺疾患

著者: 四十坊典晴1 阿部庄作1 伊藤喜久2

所属機関: 1札幌医科大学医学部第3内科 2自治医科大学臨床病理学

ページ範囲:P.1153 - P.1154

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 細気管支領域の無線毛上皮細胞はクララ細胞(Clara cell)と呼称され,10kDa蛋白質を産生分泌し,この蛋白質がClara cell 10 kDa protein (CC 10)と命名されている.CC 10は遺伝子クローニングの結果,urinary protein-1(UP-1)と同一分子であり,ウサギuteroglobinに相当する蛋白質であることが明らかとなっている.これらの蛋白質の今までの報告と合わせると機能として分泌型phospholipase A2(PLA2)およびphospholi-pase C (PLC)の阻害作用を有する抗炎症蛋白質であり1),interferon―γ(IFNγ)の産生抑制と生物学的活性抑制が報告され,種々のサイトカイン産生抑制作用に関しても注目され,CC 10欠損マウスでは,hyperoxiaに対し,過剰なサイトカイン産生を認められることが報告されている2)
 われわれはヒトUP-1に対する単クローン抗体は,immunoblotingおよび免疫組織学的検討でもCC 10を認識し,血中および気管支肺胞洗浄(BAL)でCC 10が測定可能であることを示した.さらに,われわれの検討で健常者においては喫煙により細気管支領域のCC 10陽性細胞が減少し,血中およびBALでも喫煙健常者は非喫煙健常者に比較し,有意にCC 10が低下していることを見いだし,CC 10が喫煙により影響を受ける蛋白質であることを明らかにした3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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