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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査42巻11号

1998年10月発行

雑誌目次

特集 感染症診断へのアプローチ

猪狩 淳

pp.1185

 感染症の歴史を振り返ってみると,20世紀前半までは病原性の強い微生物による感染症がほとんどであった.20世紀の後半に入り,公衆衛生の普及,環境衛生の改善,種々の抗菌化学療法剤やワクチンの開発などにより伝染性感染症の多くは激減した.そして,医療の高度進歩によってもたらされた易感染者(コンプロマイズドホスト)が増加し,病原性が極めて弱い,あるいはほとんどないと考えられていた微生物による感染症,いわゆる日和見感染症が注目されるようになった.さらに,今日では,新しく発見された微生物による感染症(emerging infectious diseases)が世界的に出現しており,既に制圧したと思われた感染症(re-emerging infectiousdiseases)が再びまたは少し姿を変えて世界各国に流行し始めている.

 一方,感染症の診断には不可欠である起炎微生物検出法の進歩も目覚ましいものがある.起炎微生物の検出には,従来から培養法が行われており,現在でも微生物検査の主流となっている.しかし,培養法は微生物を同定するまでに時間がかかり,感染症の診断,治療,経過観察には,臨床医にとり必ずしも満足すべきものではなかった.そこで,微生物検査にも,正確で,迅速な検査法の開発が求められ,特に臨床的に迅速な対応が必要な感染症,例えば,敗血症,髄膜炎,重症肺炎,下痢症などでは,起炎微生物の迅速な検出が大きな課題となった.この問題を克服するために,培地の改良,簡易同定キットや同定自動機器が開発され,普及した.さらに,従来の方法では分離培養が困難な微生物や分離に時間を要する微生物などを対象とし,非分離・非培養による迅速診断法が開発されている.微生物抗原の免疫学的検出法,遺伝子診断法がそれである.

総論

Ⅰ.感染の成立と生体防御

神谷 茂

pp.1188-1211

宿主と病原体の関連

 1.感染の定義

 感染(infection)とは微生物が生体宿主に侵入して定着,増殖し,なんらかの障害を与え,結果的に宿主に免疫反応を惹起させることと定義される.この定義の背景には,宿主と微生物という2生物間の共存状態,つまり共生(symbiosis)の考えが存在している.Theobald Smith (1934年)は感染とは"2つの異質な生物,すなわち宿主と微生物との問に成立する生態学的反応(ecologicalreaction)である"と解釈したが,この考えは現在にも適用できるものである.

 感染後,宿主に明らかな臨床症状が引き起こされた場合(発症;overt disease),これを顕性感染(apparent infection)と呼び,引き起こされた疾病が感染症(infectious disease)である(図1).一方,感染により,なんら臨床症状が引き起こされることなく,生体宿主に免疫反応のみ残す感染形態を不顕性感染(inapparent infection)と呼ぶ.

Ⅱ.感染症診断の進め方

平泻 洋一

pp.1213-1227

はじめに

 優れた抗菌薬の開発や公衆衛生の発達などにより,多くの医療従事者はほとんどの感染症を制圧できたかのような錯覚に陥っていた.しかし,エイズや病院感染などが社会的な問題になり,最近では至る所で"新興・再興感染症"という言葉を耳にするようになった.再興感染症の中にはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に代表される薬剤耐性菌による感染症も含まれている.抗菌薬の過剰投与もこれらの薬剤耐性菌の蔓延の一因と考えられ,正しく感染症の診断を行うことが抗菌薬の適正使用にもつながるものと思われる.感染症の種類によっては,診断の遅れが当該患者のみならず,周囲の患者あるいは医療従事者への二次感染を起こす場合もある.また,臓器移植に代表される医療の高度化に伴い,健常人には病原性を発揮することがまれな弱毒微生物による感染症である日和見感染が増加している.このような状況の中で感染症の垂要性が再認識されるようになってきた.感染症患者に対し適切な治療を行うための第一歩は正確かつ迅速な診断を行うことである.しかし,必ずしも典型的な症状を呈する患者ばかりでなく,種々の炎症性疾患や悪性疾患などとの鑑別が必要な場合も多い.ここでは,単なる病原診断にとどまらず,感染症の診断の進め方全般について概説する.

Ⅲ.臨床微生物検査法の進歩―1.微生物検査の手順・進め方

山﨑 透

pp.1229-1232

1.はじめに

 微生物検査の対象は,細菌,マイコプラズマ,クラミジア,リケッチア,真菌,原虫,ウイルスと幅広く,さまざまな臨床検体から検出が試みられる.さらに,近年の日和見感染症の増加に伴う常在菌とされていたものも含めた検査対象となる病原微生物の増加,国際交流の活発化に伴う輸入感染症(コレラ,マラリア,デング熱など)の増加,新興再興感染症(レジオネラ,腸管出血性大腸菌O157,ヘリコバクター・ピロリなど)の増加,抗菌薬耐性菌(MRSA, VISA, VRE, PRSP, ESBL産生菌,カルバペネメース産生菌,多剤耐性結核菌など)の増加など1,2)際限なく検査範囲の拡大化を余儀なくされている.

 一方,微生物検査法も進歩を続け,培養・同定法の改良,簡易同定キットや自動化機器の導入,新たな抗原・抗体検出法の開発,遺伝子学的診断法の利用など検査の効率化や迅速性への対応がなされてきた3,4)

Ⅲ.臨床微生物検査法の進歩―2.塗抹鏡検法・培養同定法

中野 忠男

pp.1233-1239

1.はじめに

 一般に細菌検査の最終結果報告は数日の猶予を必要とするが,グラム染色は幾とおりかの方法があるにせよ,ほとんどの施設で比較的簡単に実施できる.そして,その結果は臨床サイドに提供できる一番最初の報告である.しかしながら,検査での安易な対応は初期診療に重大な誤解をもたらす危険性があることを肝に命じておかなければならない.また,培養同定においては各メーカーから多種類の粉末・生培地,同定キットおよび自動機器が市販され,その選択と菌同定の範囲には各施設の歴史と個性が反映されている.言うまでもなく細菌検査における造詣の深さは,特に形態学的分野において,個々の経験に負うところが大きい.そのため,ときとしてひとりよがりな結果に満足してしまうことの危険性を内包しているとも言える.

 本稿では塗抹鏡検法について検査技術における基本的事項を,培養同定法おいて培地・同定キット・自動機器を中心に述べる.

Ⅲ.臨床微生物検査法の進歩―3.抗原,抗体検出法とその応用

平松 和史

pp.1240-1243

1.はじめに

 感染症領域の病原体検査法は時代とともに進歩し,これまでの病原体の分離,培養といった診断法とともに,免疫学的方法を用いた抗原,抗体検出による診断も進歩してきている.特に発育の遅い病原体や培養が困難な微生物の同定,毒素の検出を目的に免疫学的検査法が導入され,キット化されている.免疫学的検査法は,病原体の菌体,構成成分,代謝産物や毒素などの抗原を検出する抗原検出法と,生体が病原体などに対して産生する抗体を検出する抗体検出法とに大別される.

 免疫学的検査法の一般臨床検査への普及の条件として特異度,感度,検査のキット化,自動化が可能,操作が簡単,迅速,安価であることなどが必要であり,これらの点から現在ラテックス凝集法,酵素抗体法が多く用いられている.

Ⅲ.臨床微生物検査法の進歩―4.分子生物学的診断法とその応用

平井 一弘

pp.1244-1250

1.はじめに

 感染症における遺伝子診断は,臨床材料から微生物のターゲットとするDNAやRNAを抽出し,その遺伝子に相補的な一本鎖DNAを調整する.それにラジオアイソトープやビオチン,ケミルミネッセンスなどを標識したDNAプローブを作製して行い,微生物の存在を推定または証明することできる.さらに分離した微生物を増殖後,遺伝子診断することによってより精密な微生物の同定も可能となる.

 用いられる遺伝子診断の手法は多々あるが,目的とする微生物の核酸が多量に存在することが想定される場合には,核酸を増幅しないで行うハイブリダイゼーション法や核酸プローブ法が用いられる.また,目的とする核酸が微量でハイブリダイズするためには少なすぎるようなときには,標的とする微生物の核酸をあらかじめ,サーマルリアクターなどによって増幅しておいて確認するpolymerase chain reaction (PCR)法やプローブ自体を増幅するligase chain reaction (LCR)法などの増幅法が用いられる.さらに,感度の向上をねらったbranched DNA probe system (分枝鎖プローブ法)なども用いられている.

Ⅳ.抗菌薬感受性試験

山口 惠三

pp.1251-1268

抗菌薬(抗真菌薬)の進歩

 1.抗菌薬開発の道程と背景

 古代から中世紀に掛けて,われわれの祖先は突然どこからともなく襲いかかる感染症の恐怖と常に対峙してきた.そして,この恐怖に科学的メスが入れられたのは19世紀半ば以降になってからである.すなわち,発酵や感染が微生物により惹起されることを実験的に証明したパスツールやコッホらの業績による.

 一方,ある色素が動物細胞は染めず,微生物だけを染める現象を見て,微生物だけを特異的に殺して治療する化学療法の発想に思い至ったのは,ドイツにおけるエーリッヒらのグループである.その一連の研究からやがて梅毒に対し著しい効果を示す砒素系化合物サルバルサンが発見された(秦佐八郎;1909年).しかしながら梅毒に対する社会的偏見や感染症に対する血清療法への傾斜などから,サルバルサンはやがて脚光を浴びることなく,しだいに忘れ去られていった.

各論

1.敗血症・感染性心内膜炎

舟田 久

pp.1270-1283

はじめに

 医学や医療の進歩,生活環境の変化とともに,感染症は著しく変貌している.伝染力の強い感染症は鳴りを静めたが,重篤な基礎疾患に対する治療の進歩は易感染性宿主,ひいては日和見感染症の増加をもたらした.とりわけ敗血症は,感染性心内膜炎も含めて,放置すれば早晩死を免れず,予後は早期診断と適切な治療に左右される1)

 敗血症や感染性心内膜炎の疾患概念や定義の明確化は早期診断を容易にした.しかし,適切な治療には微生物学的診断が必須であり,いまだに血液培養による菌の検出がその主役を演じている.

2.中枢神経系感染症

春田 恒和

pp.1285-1289

はじめに

 髄膜炎をはじめとして中枢神経系感染症には一般的に予後不良で重篤な疾患が多く含まれるので,早期診断,早期治療開始が極めて重要である.

3.呼吸器感染症 1)上気道感染症(耳鼻科関係も含む)

真崎 宏則 , 力富 直人 , 永武 毅

pp.1291-1303

はじめに

 上気道は鼻孔から声帯までの鼻腔,鼻咽頭,咽頭,喉頭の総称であり,呼吸器系では気管以下の下気道と区別される.

 上気道は,かぜ症候群1)に代表されるように,種々の病原体が感染症を引き起こす場であるだけでなく,上気道感染に引き続き下気道感染症や耳鼻科領域感染症が起こることからもたいへん重要な部位と言える.

3.呼吸器感染症 2)下気道感染症

草野 展周

pp.1305-1319

はじめに

 下気道とは解剖学的には声門下部から気管,気管支を経て終末細気管支までであるが,わが国では気道と肺実質の中間領域である呼吸細気管支領域も下気道に含めて,気管から呼吸細気管支領域までの感染症を下気道感染症としている.それ以下の肺胞道から肺胞嚢までの呼吸領域を肺胞領域または肺実質として区別し,この場における炎症を肺炎としている.

 一方,欧米では呼吸器感染症を上気道感染症と下気道感染症に分け,肺炎は下気道感染症に含められている.しかし,わが国では宿主側要因,起炎微生物などに差異が認められることから個別に取り扱われている.本稿では従来の分類に従い,気管から呼吸細気管支までの気道における感染症を下気道感染症とし,肺胞領域における感染症を肺炎として扱う.

4.肝・胆道系感染症

斧 康雄

pp.1321-1333

はじめに

 肝・胆道系の主な感染症には,胆嚢炎,胆管炎,肝膿瘍がある.近年,画像診断の進歩により肝・胆道感染症の早期診断が可能となった.治療面でも,超音波(US)検査を利用した穿刺術やドレナージ術,内視鏡的胆嚢摘出術などが施行され,抗菌薬療法においても胆道感染症の主な起炎菌である腸内細菌群に対して,優れた抗菌力を有し,胆汁中にも良好な移行性を示す注射用β-ラクタム薬やニューキノロン薬などの開発がみられている.その一方で,肝・胆道感染症の主な原因となる高齢者を中心とした胆石保有人口の増加や,肝・胆・膵の悪性腫瘍患者の延命に伴い,これらの患者に発症する慢性・難治性の肝・胆道感染症も増加している.肝寄生虫感染症は,比較的まれな疾患であるが本稿では,アメーバ性肝膿瘍,日本住血吸虫症,肝吸虫症,肝包虫症,肝蛭症について概説する.

5.消化器系感染症 1)感染性腸炎

川嶋 一成 , 岡田 京子 , 小花 光夫

pp.1334-1351

はじめに

 消化器系感染症と言えば食道,胃,小腸,大腸までの全消化管の感染症を含むことになるが,食道と胃にみられるいわゆる上部消化管感染症は通常はそれほど多くない.食道では免疫能低下者におけるカンジダ性食道炎ぐらいであり,胃ではヘリコバクター感染症が近年大きな問題となっているが,これについては別項を参照していただきたい.したがって,本稿では消化器系感染症の中でも日常臨床上で最も頻度が高い下部消化管感染症である感染性腸炎について概説する.なお,感染性腸炎と腸管感染症という言葉はほぼ同義と言えるが,ここでは主に前者を用いる.

6.腹腔内感染症

加藤 高明

pp.1353-1368

はじめに

 腹腔内に感染が発症すると,腹膜および周囲組織に炎症が広がる.感染巣から直接または腹膜を通して吸収されたエンドトキシンや,炎症および細菌・エンドトキシンなどにより惹起されたメディエーター(chemical mediator)の作用により,循環障害や組織障害が引き起こされる.この病態が出現する前に早期診断し,適切な治療をしなければ,敗血症から播種性血管内凝固症候群(dis-seminated intravascular coagulation;DIC),多臓器不全(multiple organ failure;MOF)を引き起こし,致命的となる.したがって,腹腔内感染症は重篤な病態を引き起こす疾患で,診断および治療に緊急を要する.このため,検査技師と医師とが連携し,必要な情報の交換や提供ができる体制を確立する必要がある.本稿においては腹腔内感染症の診断方法と,これに必要な基礎知識について述べる.

7.尿路感染症

横尾 彰文 , 広瀬 崇興 , 高橋 聡

pp.1369-1383

はじめに

 尿路感染症は呼吸器感染症と同様に日常診療上,最も遭遇することの多い感染症の1つである.尿路感染症は尿路腔へ病原微生物が侵入し,尿路粘膜へ付着,定着,増殖することにより発症する.多くは外尿道口から侵入する上行性感染であり,腎から膀胱に至る粘膜を主体とした尿路系臓器組織に炎症が惹起された病態である.尿路感染症は臨床的には尿流停滞の原因となる基礎疾患(尿路結石,尿路腫瘍,前立腺肥大症,神経因性膀胱,水腎症など)の有無により,①基礎疾患を有しない単純性尿路感染症と基礎疾患を有する複雑性尿路感染症に大別され,特に後者は尿路留置カテーテルの有無により,②留置カテーテルを有しない複雑性尿路感染症と,③留置カテーテルを有する複雑性尿路感染症,の2つに分類される.また,感染部位により上部尿路の腎盂腎炎と下部尿路の膀胱炎に,症状により急性と慢性に分類され,これらの組み合わせで急性単純性膀胱炎(または腎盂腎炎),慢性複雑性膀胱炎(または腎盂腎炎),急性複雑性腎盂腎炎(慢性複雑性腎盂腎炎の急性増悪)などと診断される.前立腺炎と精巣上体炎は狭義には性器感染症であるが,これらは性感染症(STD)とは不可分のものであり,広義にはSTDに含めて扱われることが多い1)

 尿路感染症の診断は,まず尿路系臓器組織に感染の存在を証明することであり,次いでその起炎菌の分離,同定,さらに感染部位の診断と尿路の基礎疾患の有無および宿主側の病態の検討が必要となる.図1に尿路感染症診断のフローチャートを示す.本稿ではこの流れに沿って解説する.

8.性器感染症

三鴨 廣繁 , 玉舎 輝彦

pp.1385-1390

はじめに

 産婦人科領域感染症は,内性器感染症,外性器感染症,腟炎,子宮頸管炎,尿路感染症,羊水感染症(絨毛羊膜炎も含む)に大別される.内性器感染症とは,子宮内感染,子宮付属器炎,骨盤腹膜炎,ダグラス窩膿瘍,子宮旁結合織炎など内性器およびその結合組織の炎症の総称である.内性器感染症は大部分が上行性感染であり,子宮内感染から子宮付属器炎へ,子宮付属器炎から骨盤腹膜炎へと進展することが一般的である.したがって,今日では骨盤内炎症性疾患(PID;pelvic inflammatory disease)と表現されている.また,外性器感染症としては,バルトリン腺炎・膿瘍,外陰炎・膿瘍があるが,外陰炎・膿瘍は皮膚科・外科で取り扱われることも多い.羊水感染症(絨毛羊膜炎も含む)は,早産,前期破水と関係することが最近明らかになってきた.

 産婦人科領域の感染症の原因菌は,外性器,内性器のいずれにおいても好気性菌,微好気性菌,嫌気性菌,淋菌,クラミジア,トリコモナスなど極めて多様であるが,婦人性器の細菌感染症では偏性嫌気性菌が関与する頻度が高く,膿瘍の形成や壊死などの組織変化をきたすことが多い.これらの感染症で偏性嫌気性菌は多くの場合,偏性好気性菌や通性嫌気性菌との複数菌感染であるが,嫌気培養には莫大な労力と費用が必要であるという先入観のために嫌気性菌検査は日常検査となっていないのが現状である.しかしながら,臨床上,病態を正確に把握し,抗菌薬の適正使用を施行するためには,可能な限り嫌気性菌検査を施行するのが望ましい.

9.皮膚軟部組織感染症

神﨑 寛子

pp.1391-1397

 皮膚科領域感染症でも免疫抑制患者の増加に伴い,特異な臨床像や常在菌と言われてきた微生物による感染症が増加してきている.これらの感染症に早急に対処するためには適切な診断が重要となる.

 ここでは細菌感染症を中心に,抗酸菌・真菌・ウイルス感染症の中でこれと鑑別を要する疾患を加えて解説する.

10.骨・関節感染症

小原 明 , 加藤 直樹 , 栄枝 裕文 , 糸数 万正 , 清水 克時

pp.1399-1408

はじめに

 整形外科における骨・関節感染症は,診断技術が進歩し抗菌薬が発達した現在でも,なお難治性で治療に難渋する疾患である.ここでは,実際の臨床において特に留意している注意点およびこれまでに遭遇した症例に対する問題点を踏まえて,診断方法,治療方法を以下にまとめた.

11.眼感染症

阿部 達也

pp.1409-1415

はじめに

 眼科診療について,「『レッドアイクリニック』の時代は既に終わり,『ホワイトアイクリニック』の時代になった」と言われるようになって久しい.「レッドアイクリニック」とは結膜充血を主症状とする眼感染症疾患を対象にする診療を意味し,「ホワイトアイクリニック」とは白内障や緑内障などの視覚障害を主症状とし,結膜充血の伴わない眼疾患を対象にする診療を意味する.すなわち,各種の眼感染症疾患はほぼ克服されたかに考えられていた.これは,衛生環境の改善,衛生思想の普及,抗菌剤の開発普及が進んだことなどが要因として挙げられる.

 その一方で,従来とは異なった形で眼感染症疾患の診療は新しい問題を抱えている.第1は抗菌剤の濫用に伴う,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant staphylococcus aureus;MRSA)に代表される薬剤抵抗株の出現による新たな感染症の出現である.これは他科同様,眼科領域でも問題となってきている1).第2は後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome;AIDS)や臓器移植後の免疫不全状態に合併する.サイトメガロウイルス網膜炎などの,従来まれであった眼日和見感染症が増加傾向にあることである.第3はクラミジア眼感染症に代表される疾患の変貌である.トラコーマは現在の開発途上国と同様,従来わが国においても代表的な眼感染症であった.しかし,現在では新たな発症例はみられない.現在のわが国におけるクラミジア眼感染症は,性行為感染症の1つである封入体結膜炎として引き継がれ増加傾向にある.

12.性感染症(STD)

松本 哲朗

pp.1417-1427

はじめに

 性感染症(sexually transmitted disease;STD)は性行為で伝播するすべての感染症を指し,多種多様の感染症が含まれる.わが国では,従来,梅毒,淋疾,軟性下疳,性病性リンパ肉芽腫の4疾患を性病予防法に定めていたが,現在では性感染症と呼び,幅広い疾患群として捉えられている.その中にはHIVで起こるAIDSや肝炎ウイルスによる肝炎も含まれる.

 このような幅広い疾患群であるSTDでは,確実な診断治療の目的から簡便,迅速で,信頼性の高い臨床検査法が必要である.従来,培養法や酵素抗体法が主流であったSTD検査法であるが,近年,感度,特異性のより高い遺伝子診断法が開発され,普及してきた.DNAプローブ法や遺伝子増幅を応用したpolymerase-chain-reaction(PCR)法やligase-chain-reaction (LCR)法などである.一方,治療法においても,新しい有効な薬剤の登場が相次ぎ,治療上の問題点は少なくなってきた.しかしながら,薬剤の使用頻度の上昇とともに,耐性菌の増加もみられている.

13.熱傷感染

岡林 清司 , 横山 隆 , 大谷 美奈子 , 山野上 敬夫 , 世良 昭彦 , 板羽 秀之

pp.1429-1437

はじめに

 熱傷は最大の外傷侵襲であるとされ,医学が発達した現在においても広範囲熱傷の生命的予後は必ずしも良好とは言えない.その最大の理由は,熱傷感染から敗血症,多臓器不全へと進行し死に至る症例がいまだ多く存在していることにあり,熱傷患者の救命のための今日的課題は熱傷感染対策であると言っても過言ではない.皮膚,粘膜は生体内部環境を保護する第1のバリアーであるため,これらのバリアーが広範囲に障害されると外因性あるいは内因性の細菌の付着,侵入が容易になり,熱傷創感染から全身感染症に進展する危険性が高くなる.加えて,熱傷侵襲により全身的な感染防御機構が著しく障害され,同時に使用される抗菌薬は常在細菌叢を撹乱し,耐性菌の定着,増殖を引き起こし,bacterial translocation(BT)などを生じやすくする.

 本稿では熱傷における生体反応,細菌感染の機序,重症化の理由などとともに実際の細菌感染症の診断と起炎菌の検索などについて述べてみたい.

14.院内感染(日和見感染)

青木 泰子

pp.1439-1452

はじめに:院内感染,日和見感染とは?

 1.院内感染

 院内感染(nosocomial infection)あるいは病院感染〔hospital (acquired) infection〕とは病院内で接種された微生物により惹起される感染と定義される.社会生活の場で起こる感染(市中感染;community-acquired infection)に対する概念である.

 厳密には,入院前に感染して入院時に潜伏期にあった感染症は含まず,入院中に感染して退院後に症状が出現した場合は含むとされる.実際にはすべての感染症について感染場所を特定できるわけではないので,便宜的に,入院後48~72時間以上経過して感染症状を呈した例を院内感染とする場合が多い.しかし,水痘,風疹などの潜伏期が長い疾患では,もっと長時間後の発病でも院内感染とは限らないし,結核のように既感染者の再燃と院内感染による発症なのか区別し難い疾患もある.

付:新たな感染症予防法―約100年ぶりの伝染病予防法改正

pp.1351-1352

 現行の伝染病予防法は1897年(明治30年)にその基本骨子が制定されたもので,これまで数回にわたり追加と一部改正がなされたものの,現状にそぐわない多くの問題点を抱えていた.そのため,その抜本的な改正の必要性が数年来論議されてきたが,ついに"感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律"が1998年3月からの審議を経て,9月25日に衆参両院を通過し10月2日に公布された.本法は厚生省が新型感染症の国内侵入に備えて現行の感染症対策関連法のうち,伝染病予防法,性病予防法および後天性免疫不全症候群(エイズ)予防法を廃止して,新法に一本化して,狂犬病予防法および検疫法を一部改正するものである.ただし,食品衛生法は従来どおり存続するので,食中毒に関して変更点はない.本法は1999年4月1日から施行予定であり,感染性腸炎領域における行政的な対応も大きく様変わりすることになる.

 本法の対象とする感染症は5つに分類されて,1番目が1類感染症と呼称され,感染力の強い危険性のきわめて高い感染症(ウイルス性出血熱,ペストが含まれる),2番目が2類感染症と呼称され,危険性の高い感染症(コレラ,細菌性赤痢,腸チフス・パラチフス,ポリオ,ジフテリアが含まれる),3番目が3類感染症と呼称され,危険性は高くないが,特定職業への就業で集団発生が起こり得る感染症(腸管出血性大腸菌感染症が含まれる),4番目が4類感染症と呼称され,発生・動向調査を要する感染症(インフルエンザ,ウイルス性肝炎,エイズ,クリプトスポリジウム症,梅毒,マラリアなど),5番日が"新感染症"(人から人に伝染すると認められる疾病であって,すでに知られている感染性の疾病とその病状または治療の結果が明らかに異なるもので,当該疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり,かつ,当該疾病の蔓延により国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの)となっている.1類感染症は原則入院とされ,2類感染症は状況に応じて入院が,3類感染症は特定職種への就業制限が必要とされている.本法の概略は表4に示したとおりで,感染症指定医療機関は特定,第1種,第2種の3種に区分され,感染症類型によって担当する医療機関が定められている.

Topics 1998

Emerging/Re-emerging Infectious Diseases (新興・再興感染症)

岡部 信彦

pp.1454-1456

1.感染症の変貌

 かつて"病気"と言えば感染症(伝染病)がその代表であったが,抗生物質やワクチンの開発と普及・衛生環境の向上・栄養状態の改善などにより,かなりの感染症は激減した.その結果,あたかも感染症は簡単にコントロールができるものかのような錯覚が持たれ,一般の人々の"感染症(伝染病)"に関する警戒心は薄らいでしまった.医学教育・研究部門までもが感染症の分野は縮小され,感染症の診断と治療に関する医療センスは低下した.

 人類が人類の手によって完全に制圧することができた感染症は,これまでに天然痘ただ1つである.一方ではこれまでに存在しなかった感染症,病原が証明されるなど感染症であることが明らかになった疾患,すでにわれわれの目の前から姿を消してしまったかのようになっていたが再び姿を現してきた感染症の数はむしろ増加している状況にあり,新たなる問題がわれわれの前に投げかけられている.

輸入感染症

永武 毅

pp.1457

 伝染病として長い間,人々に恐れられてきた感染症の多くが,先進国の中では近年激減してきた.しかるに,地球上の多くの国が経済的発展途上にあるばかりではなく,いまだに多種類の感染症が蔓延している状況にある.輸入感染症は先進国側の住人が途上国への旅行や仕事での滞在中に,先進国ではほとんどみられることのなくなった感染症に罹患して帰国,または帰国後に発症した場合を言うが,これは旅行者感染症とも呼ばれている.わが国においても日本人海外旅行者の急増に伴って,海外から持ち帰る感染症が増加してきている.また,これらの感染病原体は国際交流の活発化により,外国人旅行者のみならず,急増している輸入食品などを介した持ち込みの機会も増えているものと推測されている.輸入感染症として最も多いのは下痢症の原因となる経口感染症であるが,以下に感染経路別にいかなる感染症を鑑別すべきかを概説する.

性感染症(AIDS)

前田 洋助

pp.1458-1459

1.HIV感染症の臨床経過

 HIV (ヒト免疫不全ウイルス)は後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因ウイルスとして1983年分離された.HIVは通常血液,性交渉を通じてCD 4陽性Tリンパ球に特異的に感染し,その減少によってウイルス,原虫,真菌などの日和見感染を起こす.一般にHIV感染症の臨床経過は大きく急性感染期,無症候期,エイズ関連症候群期(ARC期),AIDS発症の4つに分けられる(図1).

人畜共通感染症

大友 弘士

pp.1460

 人畜共通感染症(zoonosis)とは,脊椎動物とヒトとの間に自然に移行しうる疾患または感染と定義される疾患群である.この疾病概念は19世紀中葉から論議され,ドイツの病理学者Virchowによって初めて用いられたというzoonosisの言葉は,本来動物の疾患を意味していた.その後,動物固有の疾患だけでなく,ヒトの動物原性疾患,さらにヒトと動物に共通する疾患を指すようになったが,当初は狂犬病,牛痘,炭疽,鼻疽,若干の寄生虫症などがzoonosisとして扱われるにすぎなかった.しかし,研究成果が蓄積されるにつれ,自然界にはウイルス,リケッチア,クラミジア,細菌,真菌,寄生虫(原虫,蠕虫),節足動物などの病因保有動物が感染源になる多くの人畜共通感染症が存在し,特に熱帯,亜熱帯地域において猖獗を極めていることが明らかにされた.

 そのため,この問題を重視した世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)は,1950年に人畜共通感染症に関する合同専門委員会を発足させ,1958年にストックホルムで開催された同委員会の第2回報告書(1959)において冒頭の定義付を行い,1966年にジュネーブで開催された委員会の第3回報告書(1967)において主要人畜共通感染症80疾患,その病原体103種属を挙げているが,その大半は原虫,蠕虫,節足動物が病原体の疾患である.なお,WHOはその後も新たな疾患を追加し,1979年には寄生虫疾患が55種に,1982年にはウイルス,リケッチア,クラミジア,細菌,真菌による疾患は66種に増加している.また,最近における地球の温暖化,開発に基づく森林伐採による環境破壊や生態系の変化などに伴う病原体の拡散,航空機輸送の発達に伴う世界の狭域化と国際間旅行者の増加,生鮮食品の大量輸入や流通機構の発達,食生活の変化,アウトドアライフの変遷による野生動物への接近,ペットブームなどによってヒトと動物の関係が以前に比して緊密かつ複雑になっている.その結果,各地で人畜共通感染症のアウトブレイクが起こったり.罹患頻度も高くなっている(表1).

薬剤耐性菌感染症MRSA・VRSA

伊藤 輝代 , 平松 啓一

pp.1461-1462

 MRSA (methicillin-resistant S.aureus)は感性株には,存在しないペニシリン結合蛋白(PBP 2′)を産生し,ほんどんどすべてのβ-ラクタム系薬剤に耐性を示す.PBP 2′の構造遺伝子mecAはMRSAの染色体上に存在していることはこれまで知られていたがさらに,mecAを含む外来遺伝子領域(mecDNA)には少なくとも3つのタイプがあること,それらはいずれもブドウ球菌の染色体上の特定の位置に挿入されていることが明らかになった(図1).mecDNA上の遺伝子を検索した結果,転移に関与すると思われる酵素の存在が明らかとなり,mecDNAがなんらかの形で菌種間を転移することが示唆されてきている.MRSAの検出は薬剤感受性試験による方法が一般的でありNCCLS (National Committee for Clinical Labora-tory Standards)ではオキサシリンに4mg/L,メチシリンに16mg/L以上のMICを持つS.aureusをMRSAとしている.遺伝子検査においてはmecAおよびmecDNAの塩基配列を利用してプライマーを作製しPCRで行う方法が一般的であり,すでにキットも市販されている.しかしmecAはコアグラーゼ陰性のブドウ球菌(MRC-NS)にも存在するためMRC-NSも同時に検出してしまう問題点がある.このような点を改善すべくS. aureusの染色体上の遺伝子上にプライマーを作製し同時にPCRを行う方法(Multi-plex PCR)やmecDNAの右端末端の塩基配列と隣接したS.aureus染色体上にプライマーを作製してPCRを行う方法(mec right extremity PCR)も考案されている.

 MRSAの高度耐性イヒと多剤耐性化が進行した結果,1990年代にはバンコマイシン(VCM),アルベカシン(ABK),ST合剤以外の薬剤には耐性を示すMRSAがほどんどとなった.VCM, ABKがMRSAに対処する薬剤として使川されている状況のもとでVCM治療無効例からVCM耐性MRSAが日本およびアメリカで分離され問題となっている1).耐性株のVCMに対するMICは8 mg/Lである.VCMの組織移行性を考慮するとNCCLSの基準では中間に分類されるこのMIC値でも,組織内に存在する菌には効果がないと考えられる.VCMのMICが8mg/L以上を示す耐性株は,幸いなことに現在は非常にまれであるがヘテロ耐性株はかなりの頻度で分離される.このヘテロ耐性株をVCMを含有する平板(4 mg/L)に塗布するとVCM耐性株が出現する.このことからVCM治療が有効でないMRSAの場合,VCMのMICが4以下であっても,ヘテロ耐性株であるかを検討することは,治療上重要であると思われる.ヘテロ耐性株の検出法はいくつかあるが,VCMとβ-ラクタム薬剤との拮抗作用を利用した方法(図2)が最も簡便である.詳しくは文献を参照されたい.

薬剤耐性菌感染症バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)

大野 章

pp.1463

1.はじめに

 バンコマイシンは土壌細菌の一種Ameycolatopsis orientalisが産生するグリコペプチド系抗生物質で,McCormicらにより1955年に発見された.この系統の抗菌薬にはバンコマイシンやテイコブラニンがあり,グラム陽性菌に優れた抗菌力を示し,主にメチシリン耐性ブドウ球菌感染症や腸球菌感染症の治療薬として積極的に用いられてきた.一方,1990年代に入り,従来にない新たな耐性遺伝子を獲得した抗菌薬耐性菌による感染症が世界的な規模で流行し大きな問題を起こしている.1986年以降欧米を中心に流行しはじめたバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症もそのような感染症の1つである.腸球菌はもともと抗菌薬に自然耐性を示す菌種の1つであり,そのため腸球菌感染症に対する治療薬は限られる.治療薬としてはバンコマイシン以外にペニシリンとアミノ配糖体の併用が用いられてきたが,最近これら3剤に同時に耐性を示す多剤耐性腸球菌による院内感染症が米国を中心に多発し,その対策が苦慮されている.日本でも最近VRE感染症が散発的に報告されはじめている.

薬剤耐性菌感染症PRSP(PISPを含む)―ペニシリン耐性(中等度耐性)肺炎球菌

小栗 豊子

pp.1464-1465

 ペニシリン耐性肺炎球菌は,1977年,南アフリカで小児の化膿性髄膜炎患者から初めて分離され1),これを契機に,世界各地でこのような耐性株の報告が相次いだ.わが国における最初の分離は,この3年後の1980年である2).当初は散発的に出現していたが,1990年ごろから急激に増加し,現在では日常分離される肺炎球菌の半数以上を占めるに至っている(図1).

 ペニシリン耐性肺炎球菌の耐性機構は,ペニシリン結合蛋白(PBPs)の変化であり,β-ラクタム系薬の耐性に関与するのはPBP1A,2X,2A,2Bの4種とされている.これらPBPの変化は1種のみの場合は軽度耐性が発現し,複数のPBPが変化した場合は,より高いMIC値を来したり,β-ラクタム系薬の多剤耐性化が発現するとされている3)

薬剤耐性菌感染症ESBL産生グラム陰性桿菌

石井 良和

pp.1466-1467

 β-ラクタマーゼはβ-ラクタム系抗菌薬の標的酵素であるペニシリン結合蛋白から進化したと考えられている1).そのβ-ラクタマーゼのうちBushらが2bに分類したTEM-1,TEM-2あるいはSHV-1型β-ラクタマーゼ2)およびOXA型β-ラクタマーゼ(2 d)が突然変異を起こして基質特異性を拡張したものがESBL(Extended-spectrumβ-lactamase)で3),Kleb-siella pneumoniaeやEscherichia coliをはじめとする腸内細菌科の菌が産生する.表1に示す2beおよび2dの一部に属するβ-ラクタマーゼが通常ESBLと呼ばれている.最初のESBLは1983年Knotheらが報告したK.pneumoniaeおよびSerratia marcescensから分離したSHV-1由来のβ-ラクタマーゼであった4).ESBLをコードする遺伝子の多くはプラスミド上に存在しており,接合により次-と他の菌株に伝達される.1983年以降現在まで欧米ではESBL出現に関する多数の報告が認められる.しかし,わが国では1994年までESBLに関する報告は全く認められなかったが,1995年Ishiiらがcefotaxime耐性EscherichiacoliからTEM型やSHV型β-ラクタマーゼとは異なる型のESBLをToho-1と命名し報告した5).このESBLはTEM型やSHV型β-ラクタマーゼと比較してProteus vulgarisやE.coli MEN-1が産生するβ-ラクタマーゼとDNAおよびアミノ酸の相同性が高かった.Toho型β-ラクタマーゼも伝達性プラスミド上の遺伝子にコードされており,Yagiらは院内感染例を報告している6).さらにMaらはaztreonamをよく分解するESBLを発見しToho-2と命名した7).このように日本では欧米とは異なる型のESBLが多く分離され,独自の進化を続けていると考えられる.本来,ESBLはβ-ラクタマーゼ阻害剤感受性でカルバペネム系抗菌薬を分解することができない.したがって,これらの薬剤がESBL産生グラム陰性桿菌に有効であると考えられている.しかし,スルバクタム耐性ESBL6)やカルバペネム分解型β-ラクタマーゼなどの報告8)も認められ,今後のESBLの動向に注意を払わなければならないと考えられる.

薬剤耐性菌感染症メタロ-β-ラクタマーゼ産生グラム陰性桿菌

荒川 宜親

pp.1468-1469

 セフォタキシムやセフタジジムなどの第3世代セフェムに耐性を示す菌として,欧米ではTEM-,SHV-関連のESBLsを産生するグラム陰性桿菌の蔓延が問題となっている.しかし,ESBLsはセファマイシンやカルバペネムは分解できない.一方,わが国では,セフェマイシンやカルバペネムを含むほぼすべてのβ-ラクタム薬を分解するメタロ-β-ラクタマーゼを産生する緑膿菌やセラチア菌が各地の医療施設から分離され,問題となりつつある.

 筆者らが発見したIMP-1型メタロ-β-ラクタマーゼの遺伝子は,伝達性を有する巨大プラスミドによって媒介されており,腸内細菌科ではセラチア,Kleb-siella pneumoniae,大腸菌,Enterobactetr sp.,Ci-trobacter freundii, Proteus vulgalis, Providencia rett-geri,ブドウ糖非発酵菌では,緑膿菌,Pseudomonas fluorescens,,P.putida, Alcaligenes xylosoxydans, Acinetobacter sp.など幅広いグラム陰性桿菌から検出されている.また,巨大プラスミドの中には,ブドウ糖非発酵菌と腸内細菌の間で接合伝達を行うものもあり,耐性遺伝子の拡散の原因と考えられている.

薬剤耐性菌感染症ニューキノロン耐性グラム陰性桿菌

山岸 純一 , 井上 松久

pp.1470-1471

 近年,優れた特徴を持つニューキノロンが,各種の感染症に広く使用されるに伴い,耐性菌の分離頻度は,施設間で大分異なってきている.グラム陰性桿菌では,緑膿菌,肺炎桿菌,セラチアでキノロン耐性菌が分離されており,特に緑膿菌ではキノロン高度耐性を示す菌株の分離頻度が高く,臨床上問題となっている.キノロン耐性は標的酵素であるDNA gyrase (以下Gyraseと略す)とDNA topoisomerase Ⅳ(以下Topo Ⅳと略す)の変異およびキノロン透過性変異つまり外膜透過障害,薬剤排出ポンプの機能亢進により生じることが知られている.これらのキノロン耐性変異が組み合わさることにより,高度耐性化することが明らかになっている.

 大腸菌Gyraseのキノロン耐性変異は,表1に示すごとく,GyrA蛋白の83番目のセリン周辺およびGyrB蛋白の中央部2か所で生じ,これら変異部位は,活性中心,すなわちDNA共有結合部位(122番目のチロシン)近傍に局在することがX線講造解析の結果から明らかになっている.このようなGyrase変異により,Gyrase・DNA複合体に対するキノロンの結合親和性が低下し,キノロン耐性を獲得すると考えられる.また,Topo IVのParC変異部位も, GyrAのキノロン耐性決定領域に対応することから,TopoIVもGyraseの場合と同様のメカニズムにより,キノロンに耐性化すると推測される.また,緑膿菌やその他の細菌においてもGyrAやParCの耐性変異は,大腸菌の場合と類似しており,標的酵素の変異による耐性メカニズムは,広く細菌に共通しているものと思われる.

薬剤耐性菌感染症アミノ配糖体耐性グラム陰性桿菌

西野 武志

pp.1472-1473

1.はじめに

 アミノ配糖体抗生物質の抗菌作用機作は,テトラサイクリン系,マクロライド系,クロラムフェニコール系抗生物質と同様に蛋白合成阻害作用である.しかし,アミノ配糖体抗生物質はほかの蛋白合成阻害抗生物質と異なり,非常に優れた殺菌作用を示す.したがって"切れ味の良い"抗生物質として,臨床的に使用されているが,第八脳神経障害や腎毒性などの副作用を有するために,第一次選択剤というよりは第二次選択剤と使用されてきたように思われる.

 近年,1日1回投与や他の抗菌薬との併用療法などアミノ配糖体抗生物質の使用法にも進歩がみられ,日和見病原体による易感染宿主の感染症などの治療に使用されている1,2).一方,その使用量の増加とともにアミノ配糖体抗生物質に対する耐性菌も出現してきている3,4)

水系の下痢症

山本 徳栄

pp.1474

 近年,水系による下痢症の集団発生を起こす病原微生物として,消化管寄生原虫であるクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)が注目されている.この原虫は通常の浄水処理では完全には除去できず,塩素に対しても著しく耐性を示す.これらの原因を含め,米国と英国では1983年から1997年までに,水道水によるクリプトスポリジウム症の集団発生が25事例も報告されている1).わが国では,1996年に埼玉県O町で本原虫に汚染された町営水道により,住民だけでも8,800人以上が感染し,県内外から訪れた施設の利用者や従業員も多数感染している1)

 本原虫は,胞子虫綱のコクシジウム類に属する.金世界に広く分布し,多くの種が存在するが,ヒトやウシなどに下痢を起こすのは,Cryptosporidium par-vumである.経口感染すると腸管粘膜上皮細胞の微絨毛内で無性生殖と有性生殖を繰り返し,激しく増殖する.有性生殖によって形成された4.5~5.4μmのオーシストは下痢のピーク時には,1日にヒトでは10億個,ウシでは100億個も糞便とともに排出され,これが感染源となる2).また,オーシストは発症から40日以上の期間も排出されることがある1)

耐性マラリア

金澤 保

pp.1475

 耐性マラアリアの問題は極めて深刻であり,それによる脅威は急速に増しつつある.WHOによるとマラリアによって毎年200万人以上の死者が出ているものと推定されている.ヒトにマラリアを発症させる原因微生物として4種のマラリア原虫が知られているが,このうち最も重篤な疾病を惹起するのが熱帯熱マラリア原虫である.マラリアによる死者の大半はこの原虫に起因する熱帯熱マラリアによるものであって,流行地に居住している子供が主たる被害者である.成人であっても非流行地に居住しているnon-immuneの人は,本症に罹患した場合,早期に適切な治療がなされなければ高率に死亡する.熱帯熱マラリアが悪性マラリアと呼ばれているゆえんである.耐性マラリアが深刻な問題である理由は耐性マラリアのほとんどが熱帯熱マラリアであり,しかもその流行地域が拡大していることにある.

 抗マラリア薬としてキニーネ,クロロキン,プログアニルなどの葉酸代謝拮抗剤,メフロキン,ハロファントリンおよびアルテミシニンなどがある.これらすべての薬剤に程度の差こそあれ耐性株が確認されている.近年までマラリア治療の主役の座にあったクロロキンは耐性株の蔓延のため,第一選択薬として治療に用いることのできる地域が極めて限られてしまった.クロロキンに代わって登場してきたメフロキンに対しても耐性株の報告が急増している.1剤に対する耐性にとどまらず2剤3剤に対するいわゆる多剤耐性株も出現し,事態の深刻さに拍車をかけている.

ヘリコバクター感染症

藤岡 利生

pp.1476

 Helicobacter pylori感染症はヒトにおける最も頻度の高い慢性の細菌感染症の1つであり,その分布は全世界に広がり,胃癌を含めて1),すべての年齢層の胃・十二指腸疾患と関連があると考えられている.特に本菌の除菌治療により消化性潰瘍の再発が著しく抑制され2),最近では消化性潰瘍の最も基本的な治療法と考えられるようになってきた.H. pyloriはヒトの胃粘膜に感染する微好気性でラセン状のグラム陰性桿菌であり,極めて強いウレアーゼ活性を示す.本菌は酸度が中性になっている胃粘液の下層に侵入し,粘膜上皮細胞や細胞間隙あるいは粘液内に生息してさまざまな病原因子の働きにより胃粘膜を傷害する.

 本菌の感染に特徴的な臨床症状はみられず,本菌の感染が引き起こすと考えられている疾患と関連した症状であり,本菌感染のみに特徴的な臨床症状はない.

レジオネラ症

舘田 一博

pp.1477-1478

 斉藤らが1981年にレジオネラ肺炎のわが国第1例目を報告して以来,150例以上のレジオネラ肺炎症例が論文や学会などで報告されている.しかし,その数は欧米に比較して明らかに低く,わが国においてはまだまだ見逃されているレジオネラ肺炎症例が多数存在するものと考えられる.

 レジオネラはグラム陰性の細胞内寄生菌であるが,臨床検体においてはグラム染色では染色されにくく,また,本菌は通常使用される培地には発育しないことから,その分離には特殊培地の使用が必須である.この点でレジオネラ感染症の診断は臨床サイドがまず本菌感染症を疑うことが前提であり,そのうえで適切な細菌検査が実施されて初めて診断が可能となる.レジオネラ症は各種検査法が可能となった現在においても診断困難な感染症の1つであり,診断率を高めるためには以下に述べる検査法を組み合わせて実施することが必要である.

輸入真菌症

宮治 誠

pp.1479-1480

 現在,わが国において輸入真菌症の対象となる疾患はコクシジオイデス症,ヒストプラスマ症,パラコクシジオイデス症,ブラストミセス症,マルネッフェイ型ペニシリウム症の5疾患である.1997年までは前3疾患のみが報告されていたが1998年になりマルネッフェイ型ペニシリウム症1例がエイズ患者に発症している.

Q熱

小田 紘

pp.1481

 Q熱の血清学的診断法については本誌の42巻5号に記載した1).順序としては前後するが,今回はQ熱とその病原体にっいて概説する.さらに詳細については別報の総説を参照いただきたい2)

新型インフルエンザ

菅谷 憲夫

pp.1482

 インフルエンザウイルスはRNAウイルスで,表面に赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)のスパイクを持つ.A型インフルエンザはヒト以外に,トリ,ブタ,ウマに存在する.新型インフルエンザの出現は,抗原不連続変異と言われ,トリとヒトのA型インフルエンザの遺伝的再結合により生じる.突然変異ではない.ブタの気道に,ヒトとトリのインフルエンザが同時に感染すると遺伝子の組替えにより,トリのHAを持ったヒト型インフルエンザができる.トリのインフルエンザが,そのまま,ヒトの世界に侵入することもある.香港のH5N1インフルエンザは,トリのインフルエンザが,直接,ヒトに感染したもので,毒性が強く18例中6例が死亡している.H5Nlは中国本土にルーツがあると考えられ,今後も繰り返して出現する可能性がある.

 新型インフルエンザの出現した場合,日本では,約3,000万人が発病すると考えられる1).インフルエンザの死亡率は低く,0.1~0.2%程度であるが,3,000万人が発病すると,死亡者は低くみても3~4万人は発生することになる.この場合の死亡は毎年のインフルエンザと同様,老人とハイリスク群が多数を占めると考えられる.スペインかぜは,毒性が強かったことが記録されている.日本では死亡率は1.6%と異常に高く,約40万人が死亡した.死亡者の多くが,20~40歳台であった.万一,毒性の強い新型インフルエンザが出現した場合は,被害は健康成人にも及び,10万人以上の死亡者の発生する危険もある.

プリオン病

寺尾 安生

pp.1483

 プリオン病とはヒトおよび動物にみられる一連の伝播性海綿状脳症でCreutzfeldt-Jakob病(CJD),Gerst-mann-Straussler-Scheinker病(GSS),クルなどがある.CJDは発症年齢が60歳前後,通常孤発性で,進行性痴呆とミオクローヌスを呈する疾患である.不眠,食欲不振,不穏,めまいなど非特異的な症状で初発し,その後構語障害,失調,不全麻痺,幻覚,行動異常,視覚異常がみられるようになる.亜急性に進行し1年前後で寝たきり,無言無動の状態になって死亡する.一方,GSSは常染色体優性遺伝を呈し,50歳台に小脳失調などで発症し後に絢呆を伴う疾患である.経過は平均60か月程度で,CJDよりもやや長い.CJDがプリオン病全体の9割,GSSがそれ以外のほとんどの症例を占める.クルはニューギニアの食人種でみられたタイプであるが,食人習慣がなくなるとともに消滅した.プリオン病には,文字どおり亜急性の経過で海綿状に脳がスカスカになるタイプのものと,より経過が長く脳内にクル斑というアミロイド斑が蓄積するタイプがある.前者の代表がCJD,後者の代表がGSSであるが,いずれの場合もプリオン蛋白の脳内への蓄積が脳症の原因であると考えられている.クル斑はプリオン蛋白の蓄積そのものであることが免疫組織学的に示されている.

 Prusinerはヒトの海綿状脳症と類似した病理像を呈するスクレイピー感染ハムスター脳から最も感染性の高い分画を取り出し,これをプリオン蛋白(small proteinacious infectious agent,以下PrP)と名付けた1).PrPはこの脳症に罹患した動物の脳にクル斑の形で蓄積するばかりでなく,プリオン病発症脳から抽出した乳剤を実験動物に接種することによって,プリオン病を実験的に伝播させることができる.したがってプリオン病は基本的には感染疾患と考えられる.その一方でPrPは正常のヒトでも20番染色体短腕上に253個のopen reading frameとしてコードされている膜貫通性蛋白であることがわかっている2).したがってPrPには正常型のPrPと異常な感染型のPrPとがあるわけであるが,感染型のPrPが入り込んで脳内で増殖蓄積し神経細胞を死に至らしめることがプリオン病の基本的病態であると考えられる.このほかにPrP遺伝子が後天的に変異を起こす場合や,宿主の側にある種のPrP遺伝子の変異があると正常型から異常型PrPへの構造変化が起こりやすくなる場合(遺伝性のプリオン病)もあると考えられている.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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60巻5号(2016年5月発行)

今月の特集1 体腔液の臨床検査
今月の特集2 感度を磨く—検査性能の追求

60巻4号(2016年4月発行)

今月の特集1 血漿蛋白—その病態と検査
今月の特集2 感染症診断に使われるバイオマーカー—その臨床的意義とは?

60巻3号(2016年3月発行)

今月の特集1 日常検査からみえる病態—心電図検査編
今月の特集2 smartに実践する検体採取

60巻2号(2016年2月発行)

今月の特集1 深く知ろう! 血栓止血検査
今月の特集2 実践に役立つ呼吸機能検査の測定手技

60巻1号(2016年1月発行)

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査
今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

今月の特集1 移植医療を支える臨床検査
今月の特集2 検査室が育てる研修医

59巻12号(2015年11月発行)

今月の特集1 ウイルス性肝炎をまとめて学ぶ
今月の特集2 腹部超音波を極める

59巻11号(2015年10月発行)

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ

59巻10号(2015年10月発行)

今月の特集1 見逃してはならない寄生虫疾患
今月の特集2 MDS/MPNを知ろう

59巻9号(2015年9月発行)

今月の特集1 乳腺の臨床を支える超音波検査
今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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