文献詳細
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コーヒーブレイク
背信
著者: 屋形稔1
所属機関: 1新潟大学
ページ範囲:P.633 - P.633
文献購入ページに移動 今年正月に帝国劇場でやっていた与謝野晶子を主人公にした晶子曼陀羅を観に行った.日露戦争に出征する弟に"君死に給うこと勿れ"と大胆な反戦歌を歌ったのは有名だが,私たちが酒を飲むと唱う"妻をめとらば才長けて"を作った夫鉄幹にも興味あった.なぜか本欄にいつか書いた(第38巻9号,1994年9月)晶子の愛弟子石上露子の"身のはてを知らず思はず,今日もまた人の心の薄氷(うすらひ)を踏む"の歌が深く連想された.
まったく,人の心ほどあてにならないものはない.有名な史実に,イエスを裏切ったユダがおり,最後の晩餐でイエスはユダの心を見抜いて「其為す所を速かに為せ」と呟いたという.また,最愛の弟子の1人,ペトロも磐(ペトロ)と名付けられたほどなのに,鶏の鳴く前にイエスを裏切る場面が聖書の"ペトロの否認"に残されている.イエスは彼らを許したというが,人の心のうすらひは何と悲しいものであろうか.
まったく,人の心ほどあてにならないものはない.有名な史実に,イエスを裏切ったユダがおり,最後の晩餐でイエスはユダの心を見抜いて「其為す所を速かに為せ」と呟いたという.また,最愛の弟子の1人,ペトロも磐(ペトロ)と名付けられたほどなのに,鶏の鳴く前にイエスを裏切る場面が聖書の"ペトロの否認"に残されている.イエスは彼らを許したというが,人の心のうすらひは何と悲しいものであろうか.
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