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文献詳細

雑誌文献

臨床検査42巻7号

1998年07月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編

酵母アッセイシステム

著者: 外木秀文1 守内哲也1

所属機関: 1北海道大学医学部附属癌研究施設細胞制御部門

ページ範囲:P.797 - P.800

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はじめに
 酵母は単細胞で増殖する微生物とはいえ大腸菌と異なり,核膜を持つ真核細胞で,染色体やミトコンドリアなどを持ち,ヒトの細胞と同様な特徴を有している.表題には"酵母アッセイシステム"と書いたが,ひと口に酵母アッセイシステムと言ってもさまざまなものがある.基礎医学の分野で現在最も利用価値の高い酵母アッセイシステムと言えばTwo-hybrid sys-temであろう.これは2種類の蛋白を酵母の中で発現させて,それらの結合の有無を酵母コロニーの色彩の変化などを指標として判定するシステムである.この方法により,ある特定の蛋白に結合する新しい蛋白を同定したり,その遺伝子をクローニングすることが可能となった.酵母はこのように生きた試験管としてさまざまな生命現象を再現することが可能であるばかりでなく,大腸菌や動物細胞にはない高い遺伝子相同組換え能を持っている.この2つの特色を遺伝子診断に応用したのがIggoらによって開発された癌抑制遺伝子p53の酵母アッセイ法(yeast functional assay)である.この遺伝子診断法の特徴は,①PCR産物をそのまま発現ベクターとともに酵母に導入するだけで,酵母内で自動的にベクターに組み込まれるという簡便性と,②p53の転写因子としての作用を酵母内で再現してその機能の異常を判定するという点である.本稿では,このp53の酵母アッセイを例に取り,その原理と検査上のポイントについて解説し,有用性について考察する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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