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ヒ素を用いた急性前骨髄球性白血病の治療―その理論的背景
著者: 木崎昌弘1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部内科
ページ範囲:P.814 - P.815
文献購入ページに移動1.はじめに
All-trans retinoic acid (ATRA)による分化誘導療法は,その臨床的有用性と安全性により急性前骨髄球性白血病(APL)に対する第一選択の治療法として完全に定着したばかりでなく,白血病の治療法の概念そのものにも多くの影響を与えた.しかしながら,症例を重ねるにつれてさまざまな問題が存在することも明らかになってきた.その1つがATRA耐性症例の問題である1).基本的にAPLはATRA単独での治癒は難しく,ATRAにより寛解導入の後は化学療法により寛解を維持する.しかし,その過程で再発した症例の多くはATRAが無効であり,またATRAを連続使用することで耐性症例が出現するようになる.これらの難治性あるいはATRA耐性APLをどのように治療するか臨床的に大きな問題であるが,最近中国からヒ素化合物がこのような症例に有効であるとの報告がなされ注目されている2).
All-trans retinoic acid (ATRA)による分化誘導療法は,その臨床的有用性と安全性により急性前骨髄球性白血病(APL)に対する第一選択の治療法として完全に定着したばかりでなく,白血病の治療法の概念そのものにも多くの影響を与えた.しかしながら,症例を重ねるにつれてさまざまな問題が存在することも明らかになってきた.その1つがATRA耐性症例の問題である1).基本的にAPLはATRA単独での治癒は難しく,ATRAにより寛解導入の後は化学療法により寛解を維持する.しかし,その過程で再発した症例の多くはATRAが無効であり,またATRAを連続使用することで耐性症例が出現するようになる.これらの難治性あるいはATRA耐性APLをどのように治療するか臨床的に大きな問題であるが,最近中国からヒ素化合物がこのような症例に有効であるとの報告がなされ注目されている2).
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