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文献概要
今月の主題 受容体 総説
受容体とシグナル伝達
著者: 多田尚人1 網野信行1
所属機関: 1大阪大学医学部臨床検査診断学
ページ範囲:P.845 - P.853
文献購入ページに移動 生体内のすべての細胞はホルモンやサイトカイン,神経伝達物質などの細胞外情報伝達分子による信号によって,調和の取れた働きをするようその機能を制御されている.細胞応答のダイナミックスはあまりに複雑で得られている知識は断片的なものにすぎない.受容体は,大きく2つの群に分けられる.1つは,細胞膜表面にある受容体で,一般に水溶性のリガンドが結合することにより活性化して細胞内に情報を伝達する.受容体以降の機構としてGTP結合蛋白をシグナルトランスデューサーとしてcAMP増加からAキナーゼを活性化する系,PIレスポンスから細胞内Ca濃度増加とCキナーゼを活性化する系,イオンチャンネルを制御する系,またチロシンキナーゼによるチロシンリン酸化を主とする系などがある.もう一群は,細胞膜を透過する脂溶性のホルモンをリガンドとする細胞内にある受容体である.作用は遺伝子の転写がされ,翻訳されて支配下にある蛋白質が合成されてからその蛋白質の働きとして現れる.
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