文献詳細
文献概要
今月の主題 受容体 話題
血清可溶型トランスフェリン受容体
著者: 高後裕1
所属機関: 1旭川医科大学第3内科
ページ範囲:P.895 - P.897
文献購入ページに移動1.はじめに
トランスフェリンは,血清中の鉄イオンを搬送する蛋白質で,その細胞内への取り込みには,細胞表面の受容体(トランスフェリン受容体;TFR)との結合を介して行われる.鉄イオンは細胞の増殖,分化,生体酸化などに必須の金属であり,すべての細胞で必要とされるが,特にヘモグロビンを含有する赤血球とその前駆細胞である赤芽球での需要が生体内では最大である.この需要に対応して赤血球の前駆細胞にはTFRが多数発現し,血液中のトランスフェリン鉄の細胞内への取り込みに備えている.筆者らは,このTFRが血液中に可溶型TFRとして存在することを1986年に初めて報告1)し,その後その血液中での定量が,生体の造血,特に赤血球造血の非侵襲的指標になり得ることを明らかにした2).その後この仮説は,欧米の多くの施設で追試され,血清中の可溶型TFRの測定が,鉄代謝の新しい血清マーカーになることが認識されてきている2,3,5).
トランスフェリンは,血清中の鉄イオンを搬送する蛋白質で,その細胞内への取り込みには,細胞表面の受容体(トランスフェリン受容体;TFR)との結合を介して行われる.鉄イオンは細胞の増殖,分化,生体酸化などに必須の金属であり,すべての細胞で必要とされるが,特にヘモグロビンを含有する赤血球とその前駆細胞である赤芽球での需要が生体内では最大である.この需要に対応して赤血球の前駆細胞にはTFRが多数発現し,血液中のトランスフェリン鉄の細胞内への取り込みに備えている.筆者らは,このTFRが血液中に可溶型TFRとして存在することを1986年に初めて報告1)し,その後その血液中での定量が,生体の造血,特に赤血球造血の非侵襲的指標になり得ることを明らかにした2).その後この仮説は,欧米の多くの施設で追試され,血清中の可溶型TFRの測定が,鉄代謝の新しい血清マーカーになることが認識されてきている2,3,5).
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