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文献概要
今月の主題 TDMの臨床応用 巻頭言
TDMの臨床応用
著者: 菅野剛史1
所属機関: 1浜松医科大学臨床検査医学
ページ範囲:P.7 - P.8
文献購入ページに移動 TDM (therapeutic drug monitoring,治療薬物濃度モニタリング)の臨床応用が今月の主題である.臨床応用以外にTDMはないと言われたらそれまでのような主題であるが,最初のTDMのように血中の薬物の濃度を測定することだけではないことを強調したいばかりに,蛇足ともいうべき言葉を繰り返した.今日の"TDM"は基礎としての薬物の生体内の吸収,分布,排泄などの動態学的理論を背景とした薬物の動力学的解析を中心に,臨床の場で,最も効果的に,かつ安全に薬物治療を患者に実施することを総括した概念である.したがって,実際に医療の現場では,TDMは,治療のデザインに始まり,血中濃度を監視し,その効果と安全性を確認し,効果的な治療を実施することを意味する.すなわち,医師に始まり薬剤部を中心に,検査部,看護部を含め,院内の関連する部署の密接な連係のもとに実行されなければならない業務なのである.さらに,医療の現場でコメディカルの概念が定着し,必要ならばevi-dence-based medicine (EBM)や,クリティカル・パスの概念まで徹底していないと実施できない問題でもある.さらに,経済的視点からの効果も考慮すると,適正さを欠いた治療薬の投与を抑制し,まさにEBMの実践にほかならない.
しかし,基礎的な薬物動態を把握することなしに臨床はあり得ない.総説として薬物の吸収,分布,代謝,排泄を冒頭に持ってきて,基礎的概念を十分に把握したうえでと主題の内容を提供したのはそのためである.そして,この基本的な理解は,検査の領域の方には最も重要なことである.
しかし,基礎的な薬物動態を把握することなしに臨床はあり得ない.総説として薬物の吸収,分布,代謝,排泄を冒頭に持ってきて,基礎的概念を十分に把握したうえでと主題の内容を提供したのはそのためである.そして,この基本的な理解は,検査の領域の方には最も重要なことである.
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