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文献概要
今月の主題 TDMの臨床応用 話題
臨床側からみたTDMの施設間差
著者: 打田和治1 高木弘2
所属機関: 1名古屋第二赤十字病院第2外科 2JR東海総合病院
ページ範囲:P.65 - P.69
文献購入ページに移動機器および測定法の進歩と内部精度管理の普及により,施設内の測定値の精密度は近年著しく向上している.その結果,主に施設ごとの正確度の偏りに起因する測定値の施設間差がクローズアップされるようになった.この施設問測定値の誤差をなくするために,外部精度管理が行われ,参加した施設の正確度を推定し,また誤差の原因を解明する情報を提供する試みが行われている.このために古くから日本医師会,日本臨床衛生検査技師会あるいは地域単位,都道府県単位のサーベイが行われている.しかし,これらの多くは検査を行う側からの働きかけであった.ところが,近年の臓器移植免疫抑制療法の進歩,特に新しい免疫抑制剤シクロスポリン(CS)の発見による移植療法の普及は,オーダーを出す臨床医に治療薬物濃度モニタリング(therapeutic drug monitoring;TDM)の必要性を認識させ,その基礎となる薬物濃度測定値の正確度,精密度としてその施設間差に目を向かせる結果となった.
今回,腎臓移植免疫抑制療法の基礎免疫抑制剤シクロスポリン血中濃度測定に対するqualitycontrol(QC)の歩みを紹介したい.
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