文献詳細
文献概要
コーヒーブレイク
鬼平と007
著者: 屋形稔1
所属機関: 1新潟大学
ページ範囲:P.1609 - P.1609
文献購入ページに移動 小説でも映画でもどちらも大当たりして息も長いものはそうザラにはないが,池波正太郎の"鬼平犯科帳"やイアンフレミングの"007シリーズ"などはこれに当たるものであろう.鬼平こと長谷川平蔵は江戸時代天明・寛政年間の火盗改め長官,007ことジェームスボンドは現代英国諜報部きっての腕ききで,いずれも悪人相手の胸のすく活躍が万人にうけるゆえんである.
もう少し分析すると,筋立ての面白さはもちろんであるが主人公の生活の肉付けが躍動していて,しかも現実離れしていないことである.池波は無類の料理好きであったから小説の中に季節感や生活の楽しさがいたるところに含まれている.山の上ホテルや銀座の食事処を愛した生活の熟成度が随所に織り込まれており,鬼平ばかりでなく剣客商売の秋山小兵衛,仕掛人藤枝梅安など市井の人の生活を描いては味噌汁の香りまで漂わせてくれる.
もう少し分析すると,筋立ての面白さはもちろんであるが主人公の生活の肉付けが躍動していて,しかも現実離れしていないことである.池波は無類の料理好きであったから小説の中に季節感や生活の楽しさがいたるところに含まれている.山の上ホテルや銀座の食事処を愛した生活の熟成度が随所に織り込まれており,鬼平ばかりでなく剣客商売の秋山小兵衛,仕掛人藤枝梅安など市井の人の生活を描いては味噌汁の香りまで漂わせてくれる.
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