文献詳細
文献概要
今月の主題 深在性真菌症 話題
AIDS症例の真菌症
著者: 伊藤章1
所属機関: 1横浜市立大学医学部臨床検査部
ページ範囲:P.192 - P.195
文献購入ページに移動CD4陽性リンパ球数が200/μlから100/μlになるとカリニ肺炎や口腔カンジダ症,食道カンジダ症が,50/μl以下になるとクリプトコックス髄膜炎が認められやすくなる1).口腔粘膜カンジダ症はほとんどのAIDS患者にみられるが,食道カンジダ症は口腔カンジダ症に比べると少なく,全身性カンジダ症は剖検においてもまれである.肺以外のクリプトコックス症は多いが,全身播種性のヒストプラスマ症やコクシジオイデス症はわが国ではない.侵襲性アスペルギルス症がまれであるのは,AIDSでは多型白血球機能が正常であり細胞性免疫の役割はより少ないからであると考えられている.Vandenら1)によれば,エイズの全経過を通じて全患者の58~81%が1つあるいは2つ以上の真菌感染を生じ,10~20%が真菌感染が直接死因となっていると報告している.
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