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文献詳細

雑誌文献

臨床検査43巻2号

1999年02月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編

トリプレットリピート病

著者: 大須賀等12 池田穣衛23

所属機関: 1東海大学医学部神経内科 2科学技術振興事業団国際共同研究事業神経遺伝子プロジェクト 3東海大学総合医学研究所分子神経科学部門

ページ範囲:P.221 - P.230

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はじめに
 トリプレットリピート病(trinucleotide repeat dis-ease)とは,CAG,CCGなどの3塩基繰り返し配列が,健常人で認められる回数以上に伸長し疾患を発症したものを言う.DNA塩基配列の繰り返しは,比較的最近になり見いだされた遺伝子の変異で,この変異は疾患の原因と考えられる遺伝子内あるいは近傍の部位に認められ,疾患の発症と深い関係があると考えられている.トリプレットリピート病は,繰り返し塩基配列の認められる部位・種類により,異常に伸長した反復配列遺伝子がglutamineなどの蛋白に翻訳される場合と,実際には蛋白には翻訳されないものの,疾患に関連した遺伝子や蛋白の発現に影響を及ぼす場合とがある.既に15以上の疾患で塩基の繰り返し配列が正常に比し伸長していることが知られている.伸長したトリプレットリピートは,細胞分裂時や世代間で反復回数に変化が認められ,一般的に繰り返し回数は不安定であると考えられている.世代を経るごとに疾患の重症度を増し,通常重症度や発症年齢は反復繰り返しの長さと相関があり(図1,文献1)から転載),この現象は世代間促進現象(anticipation)と言われ,トリプレットリピート病の1つの特徴と考えられている.
 本稿では,各リピートの分子生物学・生化学的特徴と,臨床症状・遺伝学の特徴につき述べる.なお疾患の特徴・正式名称・略語は表1を参照されたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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