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文献詳細

雑誌文献

臨床検査43巻5号

1999年05月発行

文献概要

今月の主題 結核 話題

多剤耐性結核菌

著者: 尾形英雄1

所属機関: 1(財)結核予防会複十字病院外来科

ページ範囲:P.563 - P.566

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1.はじめに
 多剤耐性結核菌とは,最強力の抗結核薬であるイソニアジド(INH)とリファンピシン(RFP)がいずれも耐性となった結核菌を呼ぶ.両剤が耐性の結核症はストレプトマイシン(SM)・エタンブトール(EB)など,他の主要薬剤も耐性化していることが多く難治性結核の代名詞となっている.事実,1年以上治療しても排菌の止まらない慢性持続排菌者の結核菌は,まずこの耐性パターンを呈する.慢性持続排菌患者の予後は極めて悪く,5年生存率が50%1)と抗結核剤のない時代の結核患者の予後と大差ない.しかし,その一方でカタラーゼ陰性のINH高度耐性結核菌はモルモットを用いた動物実験で弱毒とされた2)ことから,多剤耐性結核菌の毒力も弱く,その感染性は低いと漠然と信じられてきた.しかし,本文にあるような米国・日本で発生したこの菌による集団感染事件は,医療関係者の認識を大きく変えた.この集団感染事件の概要を紹介をするとともに,結核菌の耐性の仕組みとその治療法・対策について言及する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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