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文献詳細

雑誌文献

臨床検査43巻6号

1999年06月発行

文献概要

今月の主題 高血圧と臨床検査 話題

アンジオテンシン受容体を介する新たな機序での血圧調節―遺伝子操作動物実験から明らかになったAT2受容体の降圧効果

著者: 松原弘明1 正木浩也2 村澤聡1 高橋伯夫2 岩坂壽二1

所属機関: 1関西医科大学第2内科 2関西医科大学病態検査学

ページ範囲:P.671 - P.675

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 アンシオテンシンⅡ(Ang Ⅱ)は単独のホルモン系だけで約30mmHg前後の血圧を維持する生体内で最も強力な昇圧系である.Ang II産生系を阻害することは,降圧療法だけでなく腎・心・脳血管障害などの高血圧合併症の進展を阻止する最も有効な治療法であり,大規模介入試験の結果に基づきACE阻害薬が質的高血圧治療の第1の選択薬である.
 Ang Ⅱ受容体には異なる細胞内シグナルを持つ1型(AT 1),2型(AT 2)が存在する.AT 1は血管,肝,腎臓,副腎などに豊富に存在し,昇圧作用・水Na再吸収・心肥大など,これまで知られているAng Ⅱの心血管・腎作用を伝達する.AT 2は胎児期に多く発現するAng Ⅱ受容体であり,生後まもなくその発現は低下し,成人では脳・副腎髄質・子宮筋に存在する.AT 2は抗AT 2作用を持ち,従来にない新たなAng Ⅱ作用を発揮するとされるが不明な点が多い(表1).わが国でもごく最近,臨床導入されたAT1受容体拮抗薬は,その投与により血中Ang Ⅱ濃度は著明に増加し,この増加したAng Ⅱは選択的にAT 2を刺激する.本稿ではAT 1受容体,AT 2受容体の遺伝子操作動物を用いて明らかとなった個体レベルでのAng Ⅱ受容体を介する生理作用について説明する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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