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文献詳細

雑誌文献

臨床検査43巻8号

1999年08月発行

文献概要

今月の主題 輸血検査 話題

輸血とプリオン病

著者: 比留間潔1

所属機関: 1東京都立駒込病院輸血科

ページ範囲:P.897 - P.901

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1.はじめに
 英国では1980年代後半,家畜牛に狂牛病と呼ばれる牛海綿状脳症(BSE:bovine spongiformencephalopathy)の発生が増加し,それから数年の後,人間に新変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病(nvCJD:new variant of Creutzfeldt―Jakob disease)の症例が認められるようになった1).このnvCJDは狂牛病からプリオンという蛋白質の新しい病原媒体を介して伝播した可能性を示す研究報告がなされたため大きな社会問題となった.nvCJDの予後は悪く,もし国民に蔓延した場合,極めて深刻な問題になると受けとめられた.また,nvCJD保因者の供血により血液を介して伝播する可能性もあり,輸血の安全性を考慮するうえで重大な問題となったのである.
 本稿では,プリオン病およびプリオンが輸血を介して伝播する可能性と現時点で考えられる対策について解説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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