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文献詳細

雑誌文献

臨床検査44巻10号

2000年10月発行

文献概要

今月の主題 脂質代謝関連検査項目についての再検討 各論

脂質代謝関連遺伝子診断:LPL,CETP

著者: 村野武義1 渡邊仁1 白井厚治1

所属機関: 1東邦大学医学部附属佐倉病院臨床検査医学研究室

ページ範囲:P.1091 - P.1100

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 リポ蛋白リパーゼ(LPL)は,血中のカイロミクロンや超低比重リボ蛋白(VLDL)の中性脂肪を分解する酵素で,主に脂肪組織で合成される分子量61kDaの糖蛋白である.LPL遺伝子は第8染色体短腕に存在し大きさは約30kbで10個のエクソンから成る.本酵素の機能低下は,高中性脂肪血症をもたらし,特にLPL遺伝子異常では,I型高脂血症(高カイロミクロン血症)を呈する.LPL遺伝子異常は世界で50以上見いだされており,日本人でも10以上報告されている.
 コレステロールエステル転送蛋白(CETP)は,高比重リポ蛋白(HDL)中のコレステロールエステルを超低比重リポ蛋白(VLDL)や低比重リポ蛋白(LDL)といったアポB含有リポ蛋白に転送する酵素でありその遺伝的欠損により著明な高HDL血症を呈する.CETP遺伝子異常は日本人症例で主に認められている.
 これらの遺伝子異常については,リポ蛋白代謝異常の要因のみならず,動脈硬化への関与についても示唆されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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