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雑誌詳細

文献概要

特集 細胞診―21世紀への展望 第1章 細胞診―現状の問題点と今後の方向性

1.医療における細胞診の位置づけ

著者: 坂本穆彦1

所属機関: 1杏林大学医学部病理学

ページ範囲:P.1165 - P.1168

はじめに
 医療は疾患の診療と疾患の予防が柱となって構成されている.医療の根幹には医学を支える原理としての科学性が厳として存在する.しかし,医療の辺縁部は厳密な科学性に裏打ちされてはいないが,社会的要請を理由とした多少異質な面も包み込まれている.社会保険の点数の変動が診療内容に有形無形の影響を与えうるのはその1例である.医療行為としての細胞診を論じるには,したがって,科学的側面と社会的側面の両者をたえず意識してゆく必要があろう.
 本稿では細胞診が今日置かれている医療の場における位置づけ,すなわち細胞診が医療のなかで記してきた軌跡の現在の到達点と今後の展望,特にどのような立場で,どのような考え方を持って細胞診に望むべきかにつき論じてみたい.筆者は細胞診指導医・認定病理医という立場で細胞診業務にかかわっているが,立脚点が違えばおのずと別の見解も存在することは想像に難くない.多様な考え方をつきあわせるなかから,将来の道筋がおのずと描かれてゆくものと考えており,以下の論考がその一助となれば幸いである.

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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