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甲状腺異型腺腫
著者: 寺畑信太郎1
所属機関: 1市立砺波総合病院検査科
ページ範囲:P.1272 - P.1272
文献購入ページに移動 甲状腺異型腺腫はHazard (1954年)の原著において,①しばしば腔を欠く密な濾胞配列.②間質の乏しい柱状,索状の充実性胞巣.③シート状からび漫性の富細胞性集塊を示すものとして記載されていたが,近年におけるWHOや甲状腺取り扱い規約における診断基準では,異型や増殖性など主観に左右されやすい用語が使用されているため,ややwastebascket的に扱われている印象を受ける.基本的には,図1のごとく種々の程度に異型を示す腫瘍細胞密度の高い腫瘍(濾胞構造の有無や好酸性細胞や明細胞型などの細胞質の染色性などは問わない)と理解できるが,被膜および脈管侵襲像のないことを確認する必要性が常に強調されており,異型腺腫が侵襲像の見い出せない癌である可能性も危惧され,今後の検討がさらに必要である.細胞診では異型腺腫の判定は困難であるが,細胞密度の高い濾胞性腫瘍が疑われるような細胞集塊が採取された時には意識する必要があろう.図2は異型腺腫の紡錘型の像で,Hazard1)の原著にもまれな組織型として記載されており,その頻度がまれなためあまり注目されてはいないが,髄様癌や,間葉系腫瘍,未分化癌との鑑別において認識しておく必要があると思われる.
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