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特集 細胞診―21世紀への展望 第4章 判定の実際
4.甲状腺:濾胞状腫瘍
著者: 坂本穆彦1
所属機関: 1杏林大学医学部病理学
ページ範囲:P.1287 - P.1290
文献購入ページに移動はじめに
甲状腺領域の病理診断は,近年の穿刺吸引細胞診の導入によって,その様相は一変した1).すなわち,とりわけ治療開始前の確定診断の決め手であった針生検組織診が行われなくなり,それに代わって穿刺吸引細胞診が目覚ましい広がりをとげた.手技の簡便性と高率の正診率が普及の原動力となった.
しかしながら,甲状腺穿刺吸引細胞診は万能というわけではない.診断学上の最大の課題として,濾胞状腫瘍(follicular tumor)の診断,具体的には濾胞癌(follicular carcinoma)と濾胞腺腫(follicularadenoma)との鑑別が"未解決"のまま残されている2).これを未解決とみるか,決着済みとみるかは観点によって変わってくる.
甲状腺領域の病理診断は,近年の穿刺吸引細胞診の導入によって,その様相は一変した1).すなわち,とりわけ治療開始前の確定診断の決め手であった針生検組織診が行われなくなり,それに代わって穿刺吸引細胞診が目覚ましい広がりをとげた.手技の簡便性と高率の正診率が普及の原動力となった.
しかしながら,甲状腺穿刺吸引細胞診は万能というわけではない.診断学上の最大の課題として,濾胞状腫瘍(follicular tumor)の診断,具体的には濾胞癌(follicular carcinoma)と濾胞腺腫(follicularadenoma)との鑑別が"未解決"のまま残されている2).これを未解決とみるか,決着済みとみるかは観点によって変わってくる.
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