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肺癌のホルモン産生
著者: 木村伯子1
所属機関: 1東北労災病院検査科
ページ範囲:P.1346 - P.1346
文献購入ページに移動 肺癌はときにホルモンを産生することが知られており,それらは肺癌の腫瘍マーカーとして,診断や腫瘍の進展,予後追跡に用いられている.肺癌が産生するホルモンとして代表的なものは,gastrin-releasingpeptide (GRP)の前駆体であるProGRP,calcitonin-gene related peptide (CGRP),高カルシウム血症の原因となるparathyroid hormone-related peptide(PTH-rP),Cushing症候群の原因となるACTH,syndrome of in-appropriate antidiuretic hormone(SIADH)の原因となるADH,などがその代表的なものである.これらの中で,ProGRP,ACTH,CGRPなどは大部分小細胞癌が産生する.ProGRPの小細胞癌における特異度は96%,感度は65%といわれ,小細胞癌のスクリーニングとして日常的に用いられている1).肺癌の中でもホルモンを産生するものはカルチノイド(定型と非定型)と神経内分泌細胞の性格を有する小細胞癌(燕麦細胞癌と中間細胞型小細胞癌)および大細胞癌が大部分であるが,ときに非内分泌腫瘍である扁平上皮癌や腺癌もホルモンを産生し,PTH-rPなどは扁平上皮癌の頻度が最も高い.内分泌腫瘍か否かを知るためにはまずGrimelius染色や内分泌細胞のマーカーであるクロモグラニンAの免疫染色を行うことが有用である.カルチノイドは定型と非定型ではACTH産生の有無,術後5年生存率などがそれぞれ有意に異なる2).肺外に進展した場合は肺癌か縦隔腫瘍かの鑑別がしばしば問題になる.その場合胸腺を含んでいるか否かも鑑別の参考になる.細胞診で小細胞癌やカルチノイドが疑われた場合は血中ホルモン値のチェックをしておいたほうがよい.
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