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膵solid cystic tumor
著者: 清水道生1
所属機関: 1北海道大学医学部附属病院病理部
ページ範囲:P.1350 - P.1350
文献購入ページに移動 膵臓のsolid cystic tumorは,これまでにsolidand papillary epithelial neoplasm,solid and cystictumor,papillary and cystic tumorなどと呼称されてきたが,最近ではsolid-pseudopapillary tumorとして報告されつつある.その頻度は膵腫瘍の1%とされ,若年(90%は30歳以下)の女性に好発する腫瘍で,その多くは良性と考えられるが,low malignantpotentialなcarcinomaとする立場もある.しかしながら,神経や脈管侵襲あるいはリンパ節や肝臓への転移を認める悪性例はWHO分類(1996年)ではsolid-pseudopapillary carcinomaと呼称し,別個に扱われている.組織発生や腫瘍の分化傾向についてはいまだ不明である.肉眼的には通常厚い線維性被膜を有する境界明瞭な腫瘍で,多房性の嚢胞部分と充実性の部分が混在し,出血・壊死が目立つのが特徴である.組織学的には線維血管状の茎を中心に偽乳頭状に配列(pseudopapillary pattern)する比較的均一な異型の少ない好酸性の胞体を持つ細胞ないしは明るい胞体を持つ細胞からなる.細胞異型は乏しく,核分裂像もほとんどみられない.泡沫細胞(foamy macrophages)の集簇やコレステロール肉芽腫(cholesterol granuloma)をしばしば認める.ときにジアスターゼ耐性PAS反応が陽性の好酸性小体が認められる.免疫組織染色ではneuron-specific enolase(NSE),vimentin,alpha-1-antitrypsinが陽性になることが多いが,CEA,CA 19-9,膵産生ホルモン,膵酵素,エストロゲンレセプターは陰性である.鑑別診断としては膵内分泌腫瘍や腺房細胞癌が重要である.
術中迅速診断では内分泌腫瘍との鑑別が問題となるが,肉眼所見に加えて偽乳頭状構造や出血・壊死,さらに変性所見が鑑別に有用である.また,細胞診に関しては,好酸性ないしは淡明な細胞質を有する腫瘍細胞がみられ,核は円形ないしは類円形で,クロマチンは軽度増量し細顆粒状である.ときに核溝も認められる.典型例では細い血管を軸に,その周囲に付着する形で腫瘍細胞がみられ,組織像でみられる偽乳頭状構造が示唆される.腫瘍は完全に摘出されれば,予後は良好である.
術中迅速診断では内分泌腫瘍との鑑別が問題となるが,肉眼所見に加えて偽乳頭状構造や出血・壊死,さらに変性所見が鑑別に有用である.また,細胞診に関しては,好酸性ないしは淡明な細胞質を有する腫瘍細胞がみられ,核は円形ないしは類円形で,クロマチンは軽度増量し細顆粒状である.ときに核溝も認められる.典型例では細い血管を軸に,その周囲に付着する形で腫瘍細胞がみられ,組織像でみられる偽乳頭状構造が示唆される.腫瘍は完全に摘出されれば,予後は良好である.
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