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子宮頸部すりガラス細胞癌
著者: 本山悌一1
所属機関: 1山形大学医学部第2病理
ページ範囲:P.1409 - P.1409
文献購入ページに移動 すりガラス細胞癌は腺扁平上皮癌の低分化型と位置づけられている.わが国での発生頻度は全子宮頸癌中1.3%程度であろうと考えられ,比較的まれである.通常の扁平上皮癌や腺癌に比べやや若年(35~45歳)に発生しやすく,また放射線低感受性であり,進行も速いため予後不良の例が多いと言われている.子宮頸癌取扱い規約ではその組織像を「胞巣状充実性増殖をし,すりガラス様の豊富な細胞質を持っ腫瘍細胞が特徴で,腺管構造,細胞間橋や角化細胞を認めない低分化癌である」と定義している.不規則な小充実性胞巣を作り,間質に著明な炎症細胞浸潤がみられることではリンパ上皮腫様癌にも似るが,すりガラス細胞癌では胞巣境界が必ずしも明瞭でないこと,浸潤細胞中に多数の好酸球が含まれることなどからも鑑別は困難ではない.細胞質が淡好酸性で均質であるため「すりガラス様」という形容がされる.顕著な核小体を持つため,細胞診標本では単に腺癌とだけ推定されてしまうこともある.しかし,通常の腺癌に比べて重積性に乏しく敷石状に配列する傾向もあること,ライトグリーンに染まった細胞質に厚みが感じられることなどが推定への糸口となり,また核の大小不同が著しく,多核形成も少なくない.一方で,細胞診で腺癌が疑われ,組織診で低分化扁平上皮癌と診断されたような場合にはすりガラス細胞癌の可能性を考えてみる必要がある.
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