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文献詳細

雑誌文献

臨床検査44巻12号

2000年11月発行

文献概要

トピックス

癌の増殖とサイクリン

著者: 後藤明輝1

所属機関: 1杏林大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.1564 - P.1566

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1.はじめに
 細胞は細胞周期(cell cycle)を経て細胞増殖を行う(図1).この細胞周期は,以下の4期に分けられるものとされている.すなわち,DNA複製が行われるS (synthesis)期,核分裂が行われるM (mitosis)期,これらの間に位置するG1期とG2期(gap phase)である.この細胞周期の進行には,サイクリン(cyclin)と呼ばれる一群の蛋白の発現が必要とされている.正常細胞においては,これらのサイクリンは細胞周期における発現時期が決まっており,また,サイクリンの作用も各種の抑制因子により制御されているため,細胞周期の無秩序な進行,すなわち細胞の無秩序な増殖は起こらない.しかしながら,癌においてはサイクリンを含む細胞周期にかかわる多くの因子に異常がみられ,それに伴って癌細胞の無秩序な増殖が生じているということが,分子生物学的知見の蓄積に伴い,明らかとなってきた.本稿では,いくつかのサイクリンとそれらの癌との関連を中心とし,細胞周期の制御と癌とのかかわりについて概説したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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